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■■■ 「古事記」解釈 [2023.1.16] ■■■
[歌鑑賞105]立つる赤幡見れ者
【即位前天皇】逃亡を止め帰京し皇嗣となる端緒
これは歌と認定されている訳ではないが、詠っている以上、歌と同類。訓読みの地文の態で記載されているものの、散文とはみなし難い。
    爾 遂兄儛訖次弟將儛時
    爲詠曰

物部之:もののふの
我夫子之:わがせこの
取佩:とりはける
於大刀之手上:たちのたがみに
丹畫著:にかきつけ
其緒者:そのをは
載赤幡:あかはたをかざり

立赤幡見者:たつるあかはた みれば
五十隱:いかくる
山三尾之:やまのみをの
竹矣:たけを
"訶岐"苅:かきかり
末押縻魚簀:すゑおしなびきなす…魚簀は那須の借字[本居宣長説]
如調八絃琴:やをのこと ととのふるごと
所治賜天下:あめのした をさめたまへる
伊邪本和氣:いざほわけの
天皇之御子:すめらみことのみこ
市邊之押齒王之:いちへのおしはのみこの
奴末:やっこすゑ

5-5-5-7-5-4-8- (7-3-4)-(6-3-4-9)-(5-7)-(5-7)-6-9-11-5

立つる赤幡見れ者  林立している赤幡を見れば
五十隠る  (敵は)隠れてしまう
山の三尾之  その山の尾根の
竹矣  竹を
訶岐刈り  刈りとって
末押し縻かすなす 押し靡かせられ
     末押縻魚簀⇒(その枝先を押し広げで作った"魚"簀[竹編床席])

八絃琴調ふるごと  八弦琴を調弦する如くに
天下所治賜  天下をお治めになった
伊邪本和気  伊邪本和気
天皇之御子  天皇の御子
市辺之押歯王之  市辺の押歯王
奴末  奴はその子孫なり

逃亡中の二王子が発見される切っ掛けの歌である。

丹で染色された、赤い旗は天皇の軍勢であることを示す。それを見るだけで敵は山に隠れるが、その竹藪を刈り取ってしまい討伐を進める、ということになるのだろうか。腑に落ちないが。
琴が登場するが、討伐時に琴を弾じることで神のご託宣が得られるということを意味していそうな気がするが、そうは読めない。

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