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■■■ 「古事記」解釈 [2023.1.17] ■■■
[歌鑑賞106]大宮の遠つ端手
【志毘臣】@歌垣経緯選んだ女に臣が手を出す
意富美夜能おほみやの 袁登都波多傳をとつはたて 須美加多夫祁理すみかたぶけり
㊂(5-6)-7

    故將 治天下之間
    平群臣之祖 名志毘臣 立于歌垣 取其袁祁命 將婚之美人手
    其孃子者 菟田首等之女 名者大魚也
    爾 袁祁命亦立歌垣
    於是 志毘臣歌曰

大宮の  大宮(と呼んでいる宮殿)の
遠つ端手  奥の方の軒は
隅傾けり  隅が(曲がっていて)傾いているな

志毘臣は袁祁命による統治への反対派の首領なのだろう。
しかし、皇統断絶の危機だからこそ、招聘し即位してもらう必要がある。代替案なしに天皇排除など無理筋なのは自明だと思うが、文化的に合わないことが判ってしまったのかも知れない。

<大宮>から始まる歌であることは、事実上、朝廷が開催した特別な歌垣であることを意味していそう。天皇が娶る相手についてもお膳立てができていたのに、志毘臣が倭って入り、娘子を得てしまったことになろう。
歌垣は公開されてこそのものなので、その場を利用して、天皇としてふさわしくないことをはっきりさせてしまおうとの決意で臨んでいそう。
志毘臣は余程自信があったのだろう。

一方、なんの準備もしていなかったように見受けられる天皇は面目丸つぶれ。
のっけから、娘子はとられてしまうは、この天皇では国が傾くとの歌を浴びせかけられたのだから。

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