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2000.3.2
 
 


公募制度は優れている…

 研究者の社内公募制が流行っている。新しいプロジェクト発足に当たって、人材を社内から登用する際に、公開募集する制度である。当人にやる気さえあれば、現在の職場の上長の意向と無関係に、異動できるという革新的なものである。

 ところが、制度は同じでも実態は大きく違う。

 A社の場合: 新規プロジェクト責任者は、公募開始の前に、引き抜きたい研究者を探し出す。夜の席に何度でも招待し、プロジェクト参加を粘り強く説得する。説得に応じた時点で、当人に合った要綱で募集する。

 B社の場合: 研究所のグループ・リーダーはどのような募集が出そうか、常にアンテナを張って情報収集に余念がない。次の公募内容を早めに知り、自分のグループの厄介者を追い出せるよう画策する。当人に、今の職場では先が無いから移る方がよいとしきりに勧める。売り込み方も教える。異動が成功したら、「良質の人材が引き抜かれどうしようもないから、すぐに優秀な人を手当てしてくれ」とトップに泣きつく。

 C社の場合: 公募しても、応募してくるのは、役に立ちそうにない研究員・エンジニアばかり。しかたがないので、人材開発の担当者が、応募要綱に合いそうな人材をデータ・ベースからピック・アップして異動の可能性を探る。うまくいきそうな場合は、その上長と相談して、応募の許可をもらう。

 A社では、制度の評判は上々である。一方、B社では、やめた方が良いと言う声が早くも聞こえている。しかし、どの企業も「成功裏に制度を導入」と発表している。


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