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2000.3.6
 
 


学位取得を嫌がる研究者…

 研究者なら誰でも博士号を取得したいと考えていると思っていたが、そうでない人に出会った。世界的に成果を認められているし、論文も数多い方である。

 話しをするうちに、はっきりおっしゃらないが、その理由がわかった。「論文博士」と呼ばれるのが嫌なのである。といっても、ご本人の考えというより、周囲の影響があるのだ。但し、周囲といっても、実は「特定の知り合い」の影響で、そのような雰囲気ができたらしい。

 「特定の知り合い」とは、転職経験がある、知る人ぞ知るユニークな研究者である。

 その人の前職時代の話しである。---

 突然、研究所幹部の学位取得記念の発表会に参加するように言われたため出席。講演を聴き、感じた通り、ストレートな質問をしたという。「そのような実験データを沢山集めて解析してどのような意味があるのですか?」というもの。
 当然、強烈な余波を受けた。

 結局、休職、自費海外留学の道を選択し、帰国後、即時退社し別な職場に落ち着き、成果を上げることになる。
 「論文博士」は仇そのものなのだ。

 しかし、不思議なことに、以前いた研究所のスタッフ、研究者、人事担当部門とは仲がいいらしい。おそらく、彼等のアドバイスがよかったから交流が続いていると言われている。噂によれば、アドバイスとは以下のようなものだったという。

 「選べる道は3つしかないから、早く選択しないと、一番大事な時を無駄にしてしまうぞ。イライラして他社に移ろうとすると、ゴタつくから避けた方が賢明だ。」

 (選択1) 非研究部門に移る。---「工場に行く気があればの話しだが。もちろん研究を諦めてもらうことになる。」

 (選択2) 海外留学する。---「会社負担は無理だから休職して自費で行くしかない。体裁がよいし、時間がたてば皆忘れるだろう。知らん顔して戻れる可能性がある。但し、その間に人事異動があればの話しだ。そうでなければ、現職復帰は無理と思った方がよい。その時は、どこかの研究職を紹介してあげよう。」

 (選択3) いわゆる「飼い殺し」状態で今のまま我慢する。---「昼休みに遊ぶために出社するようになることは見えている。一番損な選択だと思うよ。」


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