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2000.9.16
 
 


30代の憂鬱…

 30代前半の研究者・エンジニアといえば、入社数年の若者を率いて、果敢に挑戦する姿を思い浮かべる。会社の将来にかかわるようなプロジェクトに率先してかかわり、成果をだそうと全精力をかけるというのが、この年代の特徴とされてきた。

 ところが、このようなシーンが劇的に減りつつある。

 これを、インセンティブ制度の不備と捉える人が多い。「最近の世代は、十分な見返りが期待できないと、のってこないのだ。」と決めつけるような意見も多い。

 実際に、この世代と話すと、問題は別なところにあるのがわかる。

 この世代は企業に入って以来、「不毛の右肩下がり」しか経験していない。経営幹部とは違い、「右肩上がり」の体験など皆無なのだ。頑張れば、良くなる保証など全く無いことを肌で知っている。頑張れば、頑張る程、悪化する状況で、企業人として育てられたのである。

 「何年も駄目で来た会社が、インセンティブ制度をいれると、どうして急に成功できるの?」と質問する世代なのだ。

 もっとも、彼等に言わせると、この質問にまともに解答ができるマネジメントはほとんどいないという。
 「インセンティブをもらえる力があるなら、とっくに退社して一儲けしているさ。」と平然と言い放つ人さえいる。しかし、これを不満分子の発言と、とり違えてはいけない。家庭を犠牲にして会社で一番頑張っている人が語っているのだ。

 今や、この世代には憂鬱感が蔓延している。


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