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2000.10.1
 
 


理工系大学生が逃げる…

 衰退兆候が明瞭になってきた産業に属していても、毎年技術系学卒(や修士)を定期的に採用し続ける企業が多い。

 既存事業の成長見込みも薄そうだし、明らかに人員過剰でも、採用を続けている。これを好意的に解釈すれば、技術を生かした飛躍を狙ったリクルートともいえる。

 実際、こうした考えで積極的展開を図っている企業もある。同一学科から相当数の学生を一挙に採用するなど、驚く程積極的に動いている。
 こうした、例外は別として、本当のところは、どうなのだろうか。

 大学の先生の見方を尋ねると、かつての優良企業としての面子もあり、採用ゼロにしないだけとの意見が多い。これは、企業内からの確かな情報というより、自分が属する学協会の企業メンバー数の変化からの、実態推測と思われる。成熟産業関連の企業内研究者・技術者確保に悩んでいるのだろう。

 推測では、なんとも判断しかねるので、採用された当人達に尋ねてみた。

 一部の解答だから、代表例とはいえないが、「高給な高年令層の代替要員として採用されただけ。」との、極めて醒めた回答が返ってきた。一流大学からリクルートされた人の答えである。現在の技術をメインテナンスする業務が中心だと言う。新しい挑戦など皆無なので、出来れば、大学に戻りたいと言う。若い息吹きで革新を図ろうという、挑戦的な企業は極く一部だという。
 成熟産業における、企業間格差は大きいようだ。

 こうした、先輩の言葉は先生には伝わっていないが、学生は聞かされているようだ。そのため、現役の学生は、産業分野ではなく、将来性がありそうな企業への就職にしか興味がない。しかも、できるなら、非製造業で働きたいらしい。これが無理なら、就職はとりあえずどこでも決めておけばよいという態度だ。
 成熟産業の弱体企業との烙印を押されると、優秀な人材確保は至難の技になってきた。


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