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2000.10.16
 
 


研究者の賞味期限…

 マネジメント職に向かない40才代の研究者には、今後の身の振り方を早く考えてもらうようにしたい、と発言する研究開発マネジメントが増えている。なかには、研究開発部隊の40歳定年制を取り入れた企業もある。

 表立っては言わないが、こうした方針に批判的な研究者が多い。本音では、「研究者に賞味期限をつけるのか!」と憤慨しているようだ。確かに、該当する人にとっては、おもしろくないから、心情はわからないでもない。しかし、冷徹な目で見るべきだろう。

 深く技術を知ることや、様々な技術上でのスキルは貴重だが、研究開発で重要なことは、人が考えつかなかったことの実現だ。研究開発部隊の中核は、こうした考えを生み出す人である。スキル豊富な人も必要だが、小人数で十分であり、しかも、その役割はサポート的なものだ。
 当然のことながら、研究所の最優先人事課題は、こうした中核部隊の強化だ。

 それでは、強化のためには、どうしたらよいだろうか。---創造力ある人を抜擢できる人事の仕組みだ。そのためには、定常的に新陳代謝を図るしかあるまい。

 しかし、理屈はその通りだが、現実には難しい。人選が簡単ではないからだ。
 優秀な人を選抜するには、少なくとも、個人の能力や、適合性評価を行う必要がある。ところが、現行の考課システムでは評価できない企業が多い。それなら、新しい評価の仕組みを取り入れればよいのだが、躊躇している。最大の理由は、高年齢層研究者の反撥である。「能力は紙で測れない。」と考えるらしい。

 この状態で新陳代謝を進めるには、なんらかの基準で研究者を切るしかあるまい。---そうなると、「年齢による線引き」はベストといえよう。高年齢層から創造的な動きが起こったことが無い企業なら、経験論的な妥当性もある。正しい選択といえよう。


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