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2000.10.20
 
 


共同開発相手の選定…

 取り引き先を大切にという経営理念を掲げる企業で、部品の調達先と共同開発をしているエンジニアの話である。

 といっても、互いに切差琢磨することで成長している優良企業ではない。長期的取り引きを優先しすぎ、コスト競争力喪失で悩んでいる企業の設計部隊の話しである。

 収益が低下してきたため、ついに長期取引先との契約条件を見直すことになった。特別な契約を締結している場合を除き、取引条件改訂で大幅な調達コスト削減を図ることにした。限界迄、コスト削減要求をするとの方針が決まった。

 この施策のフィージビリィティ・スタディ結果、コスト競争力を欠くいくつかの取引先は確実に脱落すると予想された。想定原価構成からみれば、対応できない企業もかなりの数にのぼった。取引中止続出の場合に備えて、注文集中化や新調達先の選定など、アクション・プランを作成し、万全の準備を整えた。

 ところが、いざ実行してみると、変化はごくわずかだった。エンジニア達は拍子抜け、というより、正直、驚いたようだ。

 高コストで対応できそうもな企業まで「大幅コスト削減OK」と回答したのである。
 本当に対応できるのか、それとも、こちらの原価推定値が間違いなのか、議論している最中だという。

 前者なら、無理な受注をしていることになる。大丈夫なのか、心配になる。
 後者だとしたら、長期的につきあっているのに、自分達は取引先の原価構成さえよくわからなくなっていたことになる。自分達のコスト判断能力がとてつもなく落ちていることになる。これが実情なのかもしれないと、エンジニア達は自信を失いつつあるようだ。


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