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2000.10.20
 
 


政治の縮図…

  政治の世界は今や機能不全のようだ。時代の転換点だと思われるのだが、どのような進路を選ぼうとしているのか、まったく見えない。

 「二大政党間の政策論争ができるから、小選挙区制が良い。」ということで小選挙区制度が導入されたが、「今の政党間の論争では、政策の争点が見えない。」という主張が幅を利かせる。当初の話と180度違う。

 要するに、二者択一型の論争ができないため頓挫したのである。常に、意見が錯綜していて、2つの進路選択肢に整理されない。これでは選び様がない。投票行動が、政党や個人のイメージに左右されるのは当たり前だ。

 こうした政治状況の批判は簡単だが、研究開発目標の選択も同じようなことがいえそうだ。

 個別案件では、「GOかNO-GOか?」を迫られる。しかし、これを集めたものが、進路の意思決定になる筈がなかろう。
 研究開発全体として「右か左か」型の二者択一の議論を避けているのだ。そのような重大な岐路に遭遇したことがないのだ。しかし、今後の展開を考える時がきたのではないだろうか。

 大きな方針転換が必要な時代なら、二者択一型の議論を喚起すべきだ。
 日本の研究開発マネジメントは、こうした議論を避ける傾向がある。論点を明瞭にして対抗案を作成することを嫌う。常に、個別案件を精査して「GOかNO-GOか?」だけを議論する。やらないよりは、やった方がよさそうだという雰囲気で検討するのだ。これが意思決定の基本と考えているようだ。

 このような企業では不思議な意思決定がなされる。例えば、A、B、C、D、E、Fの6つのテーマから最適テーマを選択する。前評判ではA、B、Cのどれかと言われていた。ところが、「あれは駄目だろう」と言われていたテーマFが選ばれたのである。皆驚いたが、結果を見れば当たり前だ。A、B、Cで競争になるといわれていた原因は、それぞれの熱烈な支持者がいたからだ。熱烈だから、競争になりそうなテーマでは強くNO-GOを主張する。ところが、競争しているとは思っていなかったテーマFは支持者は少ないが、反対者も少なかったのだ。「テーマFは下らん」と思っていたにもかかわらず、その場の雰囲気でFに決まってしまったのだという。

 マネジメント能力不足の会社では、このような驚くべきことがおきているのだ。研究者は「ウチは政治の世界と同じで、どうしようもないのだ。」と嘆く。


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