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2000.11.18 |
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一向に進まない事業絞り込み…「もっと事業分野を絞り込め」と主張する若手研究者は多い。様々な分野の研究開発をやれる資源がないのだから、当然の主張といえよう。しかし、事業絞り込みは一向に進まない。これを見て、当然の主張が取り入れられないのは、組織の腐敗化もしくは硬直化が進んでいるから、と考える人がいる。なかには、日本の政治状況になぞらえて、「変化できない日本の組織」と揶揄する人さえいる。 この見方は、わかり易いが、誤解を与える。 問題は「事業分野の絞り込みをしようとしないマネジメント」ではない。この見方では、決定を先延ばしにして、その場を取り繕う人々が経営している姿を思い浮かべてしまう。まさに腐敗した姿である。このような会社もあるが、多くの場合、実態は異なる。 絞り込みを「しようとしない」のではない。「しよう」として、とてつもない努力をしている。結果が出ないから、「しようとしない」ように見えるだけだ。 それなら、何故、絞り込みができないか。 答えは簡単である。絞り込み結果を正しいと自信を持って言えないからだ。企業内のピカ一を集めても正解かどうかは分からない。様々な見方があり、どれも可能性がある。徹底的に調べ深堀議論をすればするほど、不安材料は増える。絞り込みは益々難しくなる。 水晶玉を見て即座に意思決定するなら簡単だが、真面目に検討すれば、意思決定は益々難しくなる。決して腐敗している訳ではない。 もしも、絞り込みが間違っていたらどうなるのだ。おそらく、多くの社員を路頭に迷わせることになる。そのような事態を考えず、ともかく絞り込みを急ぐべきだろうか。硬直化した組織でない限り、即座に意思決定はできまい。 結局どうなるか。絞り込みは怖いから、とりあえず伸びそうな分野に手をだし、様子を見る。 もちろん、この決定が正しいと考えるマネジメントは一人もいない。 苦笑いの目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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