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2002.5.4
 
 


跋扈する現状維持派…

 CTO(Chief Technology Officer)と言えば技術経営の総責任者である。ところが、日本企業では、経営幹部というよりは、上級管理職として働くCTOが目立つ。

 最近の典型例・・・
 「リスクは高いが、是非とも進めたい研究開発テーマがあるので相談したい」との話しがCTOから寄せられた。「将来予測が当たるか心配」とか、「ハイリスクのテーマをマネジメントする仕組みが不備」との悩みだと想像したが、予想は大外れ。
 なんと、「暖めてきた研究開発テーマを実施したいが、どうしたらよいか?」との質問。意思決定権限を委譲されているにもかかわらず、「誰が意思決定すべきか?」と当人が尋ねているのだ。驚きを通り越して、唖然としてしまった。
 配下の技術部隊で反対が予想されるとか、開発資金が手当てできそうにない、といった問題がある訳でもない。そもそも、技術に関する洞察力を持つ経営幹部はCTOだけだ。CTOが打ち出した方針への反論がある筈がない。
 しかも、テーマ自体が、リスクはあるとはいえ、極めて魅力的なのである。普通なら、社長と相談して、即決するだけのことだ。にもかかわらず、CTOは逡巡している。

 一体、このCTOは、何が心配なのだろう。
 研究開発の結果が見えるまで働ける程は若くないから、失敗責任を考える必要はない。代替人材に地位を脅かされている訳でもない。たとえ社長に反対されても、首になるとか、左遷される可能性も無い。これだけ安泰な地位にいるにもかかわらず、何かを恐れているのだ。

 実は、日本企業では、この類の話しが極めて多い。トップの指示に応じて行動する体質が染み付いており、自らの責任では挑戦しないのだ。一般管理スキルの鍛錬を強いられてきた技術系マネジメントが見せる典型的態度といえよう。
 現状体制維持の至上命令に従い、全力で技術者管理に勤しんでいる訳だ。指示が無い限り、挑戦はタブーなのである。


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