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2002.8.20
 
 


守旧派部門…

 勝ち組とは言えそうにない企業で、変革を目指して苦闘されている方々から実情を伺った。
 社内では「飛躍」を目指すとの精神論が跋扈しており、社員も忙しく働いているそうだ。ところが、将来を賭けた抜本的改革を目指す動きを見かけないという。将来への漠然とした不安感は満ちているが、危機感は無い状態らしい。
 変革が不可欠との認識を持つ人だけで動こうとすると、すぐに守旧派の妨害に遭遇するという。

 守旧派とは、人事・勤労や財務・経理部門と思ったら、それは昔の話だという。これらの部門は、今のままでは当社の没落は必至と見始めており、動きは極めて遅いが、確実に変わりつつあるという。変革を裏から支援してくれる場合もあるそうだ。
 現在、変化を一番嫌っているのは、研究開発部門とシステム部門だという。

 研究開発部門は緻密なマネジメント体制の構築に忙しいという。トップの意向に応じて、成果主義移行を急いでいるのだ。これを、社内では、「変革」と呼ぶそうだ。
 しかし、制度と組織をいじるだけで、飛躍策は全く無いという。このため、飛躍のシナリオ作りを始めようとすると、すでに対応済みとして、潰されるという。
 誰でも知っている「時代の流れ」に乗って当社は飛躍する、との空疎なスローガンをシナリオと考えろというのだ。戦略皆無、飛躍の根拠が薄弱でもかまわないらしい。要するに、流れに乗っていれば、現場の頑張りでなんとかなるという、旧態依然たるマネジメントを続行するのである。

 システム部門も、変革の提案さえできない状態だという。
 時代遅れのシステムを放置したままなのだ。ダウンサイジングやオープン化といえば10年前の動きだが、これにも全く対応していない。社外との接続などとうてい無理な話らしい。
 その理由ははっきりしている。こうした技術に対応できる人材がいないのである。そのため、場当たり的な対応でシステムが膨れ上がってしまった。今では手のつけようがないらしい。標準的システム導入など恐ろしくて考えられないという。にもかかわらず、有名なパッケージソフトを導入する。これでは破綻、と主張する情報技術者もいない。他社に追随して新システムを構築していれば、批判も受けないから、なんの問題もおきないらしい。

 これが「研究開発部門とシステム部門は聖域ではない」と叫んでいる企業の実態である。知識皆無で、知恵も浮かばないのに、緻密な報告を要求すればマネジメント可能と考えている限り、事態は変わらない。というより、悪化一途だ。
 今や、研究開発部門とシステム部門は社内で一番保守化している部門なのである。


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