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2002.11.2
 
 


政策決定者のスキル…

 委員会で力を発揮している人から、そのパワーの秘訣を聞いた。

 パワーの源泉は、議論の進め方のノウハウだという。といっても、生産性を高める方法論ではない。その逆である。

 一番重要なスキルは、議論を長引かせ、できる限り多くの時間を費やすことだという。
 まずは、「オープンに語ろう」と発言し、議論を拡散させる。課題の絞り込みを避ければ、ほぼ成功だ。
 参加者は皆多忙なので、はやく決着させたくなる。イライラし始めた頃合を見計らって、暖めていた政策の一部を語り、賛同が得られそうか探ってみる。
 賛同が得られそうなら、議論に疲れきった頃に、鋭い提案を行い、一気に勝負をかける。論理武装した提案を用意しておけば、失敗することはないそうだ。

 しかし、このような成功は少ないという。探りを入れると、異論を述べる人がいたり、強硬な反対意見を開陳する人が登場するという。この場合、決して提案には進まない。
 次ぎに、チャンスがありそうな時を狙うのだ。これを、へこたらず何度でも繰り返す。

 この過程で、重要なのは、提案以外の案件をすべて棚上げにすることだという。このスキルがなければ成功はおぼつかないそうだ。といっても、簡単なことだという。
 他の案件の議論が始まったら、すぐにデータ収集や分析の重要性を主張する。事実の確認作業も効果的だ。要は、意味の薄い面倒な作業を大幅に増やすのだ。そうすると、意思決定は遅れる。先送り案件が増えてくると、関係者は疲れてくる。成立する保証もないのに面倒な作業を続けなければならないから、気力も削がれる。
 そして、反対者の態度も和らいでくる。他の案件もなかなか成立するまい、と勝手に思い込む。当然、反対が鈍ってくる。

 この時がチャンスだ。

 提案を行い、反対側と徹底した妥協を図る。反対者が喜ぶ表現をできる限り取り入れて提案文章を抜本的に改定する。名目的には、反対者の主張が全面的に通った形にする。主張が通った経験がないから、自ら言い出した表現が受け入れられたことで、成果を得たと考えがちだ。
 もちろん、実質的には提案通りだ。

 実は、このスキルは、大企業の運営から学んだものだという。


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