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2002.12.9
 
 


不振企業が掲げる数値目標…

 研究開発部門に対しても、明瞭な数値目標を設定し、達成へのコミットメントを要求する時代である。

 このため、研究開発費対売上高比率を、「数値目標」に含めている企業がある。

 この数字は、業態・業種や戦略によって大きく変わる。利益率とは違い、パフォーマンスを表す指標ではない。研究開発費の対売上高比率は、キャッシュフロー上のガイドラインとしては重要だが、それ以上ではない。普通は、そのような数値として扱われるのが普通だ。

 ところが、この企業では、比率維持が絶対目標にされている。チャンスを発見して、増額すれば、研究開発マネジメントの「失敗」と見なされる。比率厳守は研究開発部門の最重要課題だ。
 こうした非戦略的な経営プロセスを変えるべき、と考える技術屋は多いが、そのような発言は許されない。
 要するに、研究開発費に関するインベスターの質問を無くしたいのである。研究開発費の同業他社比較で、常に同等レベルを維持すれば、目立つことはあるまい、と考えているのだ。

 柔軟性を欠く仕組みだから、テーマも次々と廃止になる。このため、研究開発予算が消化できないという。本来は該当しそうにない経費まで計上し、見かけ上で研究開発投資水準をを保っているという。
 よく聞くと、このような数値管理は、すべての部門で徹底されているらしい。広告費用、環境費用、社会貢献、等々、すべて厳格な目標があるそうだ。しかも、その目標数値は、業界平均で定義されるという。どの部門も、コストに関する目標は100%クリアしているという。一方、売上や利益目標は未達が続く。業績不振は隠しようがない。縮小再生産が始まっているのだ。

 研究開発部門の幹部によれば、経営全般に関する数値目標は総資産利益率になっているという。日本の中小企業全般の数値を採用すれば、1%である。
 確かに、どうやら目標を達成しそうだ。


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