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2003.2.16
 
 


脱サララーメン店の話…

 最近、ラーメンに凝る人が多い。1杯700円の特製ラーメンを食べるために木枯らし吹きすさぶ道路端で2時間行列して待つ人がいる。
 その一方で、180円ラーメンもあるし、高級ラーメンを追求する店もある。
 激烈な競争が続いているが、新規参入はやまないそうだ。

 なかには、ラーメン好きがこうじ、脱サラリーマンしてまで、ラーメン店を開く人もいるそうだ。

 そのようなラーメン店の話を聞いた。

 指定農家の軍鶏からとったスープに、利尻昆布の出汁が入り、醤油は5年醸造の本格ものを使用。麺は、特注の粉を使って、銘水で十分練った上に、完璧な温度湿度管理特別室で寝かしている。
 これに、最高級豚肉から作ったチャーシューと特注メンマがトッピング。
 徹底的にこだわったラーメンである。
 専門家から見ても垂涎のラーメンだが、このような食材では、とても従来の価格ではペイしない。ところが、驚くことに、そのような価格設定ではない。
 顧客に味を知ってもらい、それから妥当な価格にするつもりらしい。

 ・・・というラーメン談義をしながら、ふと気付いた。
 日本企業の技術マネジメントは、脱サラ「高級ラーメン」マネジメントによく似ている。
 すべての分野に、優秀な人材を多数投入し、品質機能で最高レベルを狙う。徹底的にこだわり、最高の商品を作る。

 脱サラ経営ラーメン店は、日本企業の今の姿ともいえそうだ。

 いくら頑張ったところで、高コストが前提では、180円ラーメンとはとても競争できない。といって、所詮はラーメンであるから、2000円のラーメン市場を作り出すのは無理である。
 それなりの売上を実現したければ、大衆価格にせざるをえない。当然、赤字転落である。

 ・・・この話しは、ここで終わらない。

 実は、この脱サラ経営者の店で出すラーメンが本当に素晴らしいか、という問題が残っている。
 頭で考えれば、最高食材を集めたから、さぞかし上手いラーメンだと思いがちだが、そうはならない。この最高ラーメンを食べた人の感想は、驚くことに、「不味い」である。
 素晴らしい食材を集めながら、その力は一向に発揮できていない。残念ながら、この脱サラ氏にはラーメン作りのセンスが無いのである。


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