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2005.1.18
 
 


工学部卒業生に対する偏見…

 古い話を思い出した。

 「君、こんな時こそ、鼎(かなえ)の軽重が問われるのだよ。」と、某総合大学を卒業した先輩が、10才若い後輩に語った。

 これに、後輩は、「鼎ってなんですか?」と真顔でこたえた。

 一瞬、先輩は絶句。

 「鼎も知らないのか。同じ○○大学の同窓生として恥ずかしいぞ。」

 「先輩は商学部ですが、私は工学部ですから。」

 たった、これだけの話である。

 おそらく、この話をきくと、技術の専門家とはそんなもんかもしれない、といった感想で終わる。

 ところが、この感想は間違っているのである。
 鼎も知らない、この工学部卒業生は、実は、技術の専門家ではないのである。大学在学中にすでに技術に興味を失っており、卒業後は、専門書を一冊も買ったことがないのだ。

 読む本は、サラリーマン向けの週刊誌とコミック雑誌ばかり、それに、ゲームの攻略本くらいである。
 要するに、教養とか、技術といった、小難しいものに触れることは無い。

 これを聞くと、どうして工学部に入学し、卒業までしたのか、疑問を呈する人がいる。

 このことで、工学部に対する偏見が存在していることがよくわかる。
 「工学部で学ぶ人」というステレオタイプのイメージが通用しているから、このような疑問が湧くのである。

 法学部、文学部、教育学部を卒業しているサラリーマンに、法律、文学、教育の専門書を読む人がどれだけいるか考えて見ればわかると思う。なかには、毎朝、スポーツ新聞を読む以外、仕事以外で、ほとんど活字に触れない人さえいる。
 そんなことは当然のこととされている。俺は体育系だから活字など無関係と、平然と言いはなつ人も多い。

 ところが、今もって、工学部卒業生だけは、例外になっている。

 どうして、こんなことになるのか考えてみた。

 その理由は、研究者・エンジニアの「素人が口を出すな」といった態度にあるのではないだろうか。

 そのため、工学部卒業生は人の話を聞こうとしない、と見なされる。
 そして、専門以外に興味を示さない、視野の狭い人達というレッテルが貼られる。


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