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2006.5.10
 
 


待ち行列理論の話…

 大学の先生が「待ち行列が・・・」と話し始めたから、交通やエレベーター等の流れを話題にするのかと思ったら、学生のマナーの話だった。

 “登校時の○○駅バス停は大変混雑し、長い待ち行列ができる事があります。そんな時に心ない学生が列に割り込んで乗車するケースが見うけられます。
 バスは本学の学生ばかりでなく、一般の人も利用しています。社会規範を逸脱するような行動や、他人に迷惑をかける行為は慎みましょう。”
 大学の掲示である。

 「バス利用者は、停留所で行列が出来ている場合は、その最後尾に並んで下さい。」とでも看板を立てなければ、どうしてよいのかわからない大学生がいる時代に入ったようである。

 そんな雑談をしていたら、聞いた覚えがある話を、再び耳にすることになった。昔は、冗談半分で聞いていたが、今や「定説」になっているのかもしれない。

 出典は定かではないが、待ち行列の3文化圏理論である。

 東京の住人だと、整列した待ち行列は当たりまえに思うかもしれないが、それとは違う文の地域もあるという主張なのだが、結構当たっているような気もする。

 先ず、正反対の文化圏だが、ここでは、列があろうとなかろうと、いざ扉が開いて乗車が始まると、我先に乗り込むという。
 割り込み許すまじと、喧嘩になりかねないと思ってしまうが、それが当たり前とわきまえている人ばかりだから、滅多にトラブルは発生しないらしい。

 東京人だと、とんでもないルールと思いがちだが、要は、本当に座りたい理由があるなら、列に係わりなく、その意志を堂々と示せばよいのだという。仕事で疲れ切った人もいるし、のんびりバスを待っている元気な人もいるのに、順番乗車など不合理だというのである。

 そもそも、東京の整列乗車とは表面的なものでしかないという。座れるかどうか、はっきりしない順番の人達の間では、車内で醜い椅子取り合戦が行なわれることになるではないか、と言うのだ。しかも、後から乗ったお年寄りに座席を譲らない人が目立つという。

 先を争って乗車する地域では、後から来たお年寄りに席を譲る人が多く、東京と違って皆温かいそうだ。

 言うまでもなく、アンチ東京学派のが展開する学説だが、当たっているところもある。

 尚、このアンチ東京学派の先生によると、ルールの本質と無関係に、ルール遵守だけを強要する文化圏にはコミュニティは育たないという。
 言われてみれば、その通りかも知れぬ。

 確かに、郊外の駅前整列乗車地区の状況を見ると、腐敗したコミュニティが見えてくる。
 なかなか来ないタクシーに乗ると、横を見れば、バスは長蛇の列。
 どうしてか尋ねると、バスの発車時間を電車の到着時間に合わないように恣意的にずらしているため、必ず行列になるそうである。
 おかげで自動的にタクシーの方に人が流れるから、タクシーも待たされる訳だ。
 とんでもないシステムだが、皆、黙っているという。

 ところで、もう1つだが、こちらは、そもそも、整列とか行列を嫌う地域なのだという。停留所辺りでバラバラと自分の好きなスタイルでバスを待つのである。
 しかし、だいたい、停留所に来た順番で乗車することになるのだそうである。それぞれの人が、順番を意識しているのである。言うまでもないが、高齢者や乳児は順番に関係なく優先乗車になる。
 乗客数がそれほど多くないから成り立つ仕組みではあるが。

 昔の日本とは、こんなものだったのではないか、と言う人がでたところで、議論は終わった。


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