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2006.7.19
 
 


MOTTAINAIはポジティブな言葉なのか…

 ノーベル平和賞受賞者Wangari Maathai氏が日本を訪問した時、「もったいない」との言葉を知り、3R(Reduce, Reuse, Recycle)精神を一言で表せることに気付き、MOTTAINAIキャンペーンを始めたそうだ。(1)
 (UN Environment Program のヘッドの薦めでRepairが追加され4Rになる。)

 このキャンペーン、日本では人気がある。

 う〜む。

 この言葉の意味は一寸違うのではないか。
 もともとは、「おそれおおい」という意味であり、“what a waste. ”ではなかろう。そんな神聖なものを粗末にはできかねる、という感じの表現である。(2)

 なぜ、突然、こんな語義の話をし始めたかといえば、日本社会の現実からすると、MOTTAINAIは4R運動に適当な言葉とは言い難いからだ。

 確かに、大量消費、大量廃棄の社会に対する警鐘として、MOTTAINAIキャンペーンの意義はわかる。
 しかし、問題は、この言葉は死語化しているのではなく、今も生き続けている点にある。高齢者側なら、極く日常的な用語と言ってよいだろう。

 それでは、この言葉を使う世代は、普段、家庭で、どのようにMOTTAINAI思想で生活しているのか。
 人様に素晴らしい言葉と言える状況だろうか。

 先ずは食べ物で見てみよう。

 缶詰、レトルト、乾物、を保存している場所を見るとよい。そこには、手付かずのまま忘れ去られた商品が山のようになっている。何があるのか、調べない限り、何時までも眠り続ける。
 もっとも調べれば賞味期限切ればかりである。
 MOTTAINAIから、捨てずにいるだけのこと。
 ところで、賞味期限切れでも、MOTTAINAIから食べるべきだろうか。

 さて、次は冷蔵庫となる。
 ここにも、やたらと食品が詰め込まれている。MOTTAINAIから、とりあえずとっておくことになる。カロリーのとり過ぎなど気にせず、いつか、無理して食べることになるのだろうか。

 そして、堆く積まれている、美しい箱に詰まったお菓子類。美味しいからといって、食べ続けるようなものではないのだ。従って、MOTTAINAIから、こうするしかないのである。

 そういえば、食器も同じようなものだ。
 パーティなど滅多にないし、毎日使うものはだいたい決まっている。にもかかわらず、驚くほどのお皿がある。と言っても、ほとんどは引き出物等のお祝い品。なかには名入りもあったりして、これこそ正真正銘、もったいなくて、捨てたりあげたりできない。

 そうそう、圧巻は、お洋服。
 箪笥の肥やしとはよく言ったものである。いつ着るのかさっぱりわからぬものが、いつまでも入っている。MOTTAINAIから、とっておくのだ。
 クローゼットにぶる下げるだけで、季節を越せば、クリーニング屋に直行という、得体のしれない服も少なくない。MOTTAINAIから、大切にするのである。

 そして、タオルや石鹸も山のよう。

 まだ大物があった。積読と、棚塞ぎの蔵書類。おそらく、二度と手に触れぬ本ばかりだ。
 これも致し方ないのである。
 知恵の詰まった文化の塊を、古紙回収にまわすなど、恐れ多くてできる筈もないからだ。

 ・・・MOTTAINAIを、日本が誇るポジティブな言葉として、海外の人に説明する勇気はとても湧かない。

 --- 参照 ---
(1) http://www.christiansciencemonitor.com/2005/0422/p09s01-coop.htm
(2) http://gogen-allguide.com/mo/mottainai.html


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