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2006.12.28
 
 


年の暮れには是非一年の反省を…


   『年末』(1)  
與謝野晶子
  あわただしい師走、
  今年の師走
  一箇月三十一日は外のこと、
  わたしの心の暦では、
  わづか五六日で暮れて行く。
  すべてを為さし、思ひさし、
  なんにも云はぬ女にて、
  する、する、すると幕になる。

 時の流れは速い。2006年も残り僅か。

 年の暮になると、少しは一年の反省でもしたらとのお説教を喰らうことが多いが、そんなことを言われるうちが華かもしれない。
 まだまだ先があると見なされ、反省せよと言われるのだから。

 この反対に、知らん顔をされるようになると、寂しいに違いない。

 愛を情熱的に歌い続けた和泉式部でさえ、老いは相当応えたようである。

    としのくれに 身のおいぬることを なげきて よみ侍ける
  かぞふれば としのゝこりも なかりけり おいぬるばかり かなしきはなし(2)

 もっとも、現役を引退すると、年の暮を心静かに迎えることができるようだ。そんな新境地に慣れると、反省ではなく、この一年、大変ご苦労様でしたと、自分を褒めるのだという。
 そんな方に、50にして知命、60にして耳順、70にして従心ということですかと話しかけたら、言下に否定されてしまった。

 年齢を重ねると、柔軟性が目に見えて落ちてくるのだそうだ。最近は、その低下が若年層でも目立つようになってきたと、ご批判まで頂戴してしまった。

 30にして而立とは、実は、30には意見をするなということ。
 40にして不惑とは、40には言ってもはじまらないのだそうだ。
 そして、50を越した人は、自分を“天”と思っているから、語りかけるのは時間の無駄というのだ。

 最後に、どうせ、若い人は孔子など知らないだろう、との捨て台詞まで頂いた。

 人の話を聞くことができるかは、年齢の問題ではないと思ったが、人生の大先輩のお言葉は有難く頂戴することとした。
 「結局、やる人はやるし、やらない人はやらない」(3)だけのこと。
 ただ、現役連中に対する批判もわからないではない。“やる人”の数が急速に減ってきた感じがするからだ。

 --- 参照 ---
(1) http://www.aozora.gr.jp/cards/000885/files/2557_15784.html
(2) 新古今和歌集 卷第六(冬歌) [702]
  http://etext.lib.virginia.edu/japanese/shinkokinshu/Ano06Sh.html
(3) 秋吉敏子氏が若い人へのアドバイスを求められても困ると語った. [2006.6.5]
  http://www.asahi.com/culture/entertainment/music/news/TKY200606050284.html
(カット:カレンダー) by Yuriko http://www21.big.or.jp/~yuriko/


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