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2007.1.17
 
 


男女機会均等のお話…

日本のGEM 推移(1)
順位
1995 27位
2001 31位
2002 32位
2005 43位
2006 42位
 昨年末、日本は、女性活用に、ほとんど手をつけていない状態との話を聞かされた。
 その通りだ。均等法など、はっきり言って、何の意味もなかった。

 当然の結果である。
 労働集約型で、生産性が低い産業を保護する政策を続ける限り、変わる筈がなかろう。女性 を、安価な単純労働者供給源にしておかないと、成り立たない産業が多いのだから、どうにもならない。生産性が低い産業が、政治力で生きていける社会が嬉しい人が多数派なのだから、均等が実現できる訳がないのである。
 男性はフルタイム労働、女性はパートタイム労働+家事/育児労働との「分業体制」とは、この保護政策を社会に当てはめただけの話である。

GEM(2) [Human Development Report 2006]
議員比率 管理職比率 専門職比率 男女収入比
日本[2006] 10.7% 10% 46% 0.44
日本[1995] 6.7% 8% 42% 34%
韓国 13.4% 7% 38% 0.46
シンガポール 18.9% 26% 45% 0.51
米国 15.0% 42% 55% 0.62
スエーデン 45.3% 31% 51% 0.81
 欧米から見れば、アジアは女性蔑視体質ということになろうが、おそらく、そんな問題ではないと思う。(欧米は移民蔑視体質だ。)
 グローバル競争の時代、人口の半数を占める女性を活用しなければ、繁栄できる筈はない、と考えるか、ということ。一部の産業にぶる下がって生きようと考える人達が、女性の活用を重要視する訳がない。

 こんな話をするのは、こうした社会の実情がわかっているにもかかわらず、それを放置して、女性活用促進だけを図ろうとしているように感じたからである。と言っても、大きな問題から手をつけよ、と言いたいのではない。
 女性は「自分自身のために」仕事をするとの、アンケート調査結果を肯定的にとらえ、これこそ女性活用の切り札といった感じで説明してくれたから、その発想に違和感を覚えただけのこと。

 「自分自身のため」という文言を、「自己実現のため」と勝手に読みかえるべきではない。
 男女分業社会で、女性が語る「自分自身のため」とは、家庭中心で仕事をしたいということに他ならない。従って、「生活のため」に働くと語る人より、「自分自身のため」に働くと語る女性の方が職業意識が高いとは言えないのが実情である。
 一般には、“自分のため”に働くと語る人は、マイペースで仕事をすると見られている。協調性を欠き、責任感が薄い人で、自己実現を目指す人とは考えられていない。・・・これが、ビジネスの現場感覚ではなかろうか。

 何が言いたいかおわかりだろうか。
 「自己実現のため」に本気になって働く女性に飛躍の機会を与えよ、とはっきり主張すべきということ。性別に関係なく、「自己実現のため」に働いている人は少数派であり、この支援なくして、なにも変わらない。
 日本社会は、変革を嫌う人が主流派である。この状況は、女性にも当てはまることを忘れるべきでない。
 多数派が語る「自分のため」とは、現実には、責任を負いたくないし、面倒で、負担になる仕事はやりたくないが、収入だけは増やしてくれということ。この状態で、機会均等をいくら叫んだところで、現場が女性活用を図る訳があるまい。

 どうすべきかは自明。
 多数派女性への支援策を止め、本気で「自己実現」を考えている、改革の核となりそうな少数の女性に的を絞って支援すべきなのだ。この層に頑張ってもらわない限り、どうにもならない。
 変革を嫌う多数派におもねる“女性活用”発言は止めて欲しい。

 実は、たまたま流れていたNHK のテレビ放送を見て、その感をさらに深めた。
 主役として登場した女性レポーターが、日本の働く女性像を示してくれた気がしたのである。頑張っているのだろうが、はっきり言って、いてもいなくてもよい存在だった。たまには、観光案内書の冒頭にありそうな、一行説明を紹介するが、「広い」「高い」「古い」「綺麗」との発言ばかり。画像を見ればわかる言葉の羅列だ。あとは、「すご〜い」「美味しい」の連発。感激した様子を伝えているつもりだろうが、何がなんだかさっぱりわからない。
 何の印象も残っていないが、服装と髪型では自己主張があったのかも知れぬ。
 要するに、意見や感想を述べる能力が無い、幼稚な女性としか思えない。・・・そんなタイプの女性に人気が集まるからこそ起用したに違いない。
 これが、日本の現実である。能力を発揮する女性は嫌われるということ。

 話がずれたかもしれない。

 主張を繰り返して話を終わろう。
 男女分業構造を固定化しておいて、男女の機会均等をいくら主張しても効果は期待薄。
 日本社会を担うリーダー役となりそうな女性への、選別的支援こそ、機会均等社会への早道である。それは、日本経済衰退を抑える特効薬でもある。

 --- 参照 ---
(1) “Gender Empowerment Measurement(GEM)”は以下の合成指標
  議員: Seats in parliament held by women
  管理職: Female legislators, senior officials and managers
  専門職: Female professional and technical workers
  収入: Ratio of estimated female to male earaned income
  「IndicatorHuman Development Report」 UNDP
  http://hdr.undp.org/reports/view_reports.cfm?type=1
(2) http://hdr.undp.org/hdr2006/pdfs/report/HDR06-complete.pdf

 --- 附記 ---
Gender 問題に関心を持たれたら、理想論や思想から入らず、現実に発生している問題を考えた方がよい。
頭脳労働者と自負される方はなおさら。
例えば、お勧めの読み物は、→  『「日本将棋連盟から女流棋士会が独立」報道を巡って』 [macska dot org 2006.12.26] >>>


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