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2008.4.17
 
 


転職話…

 転職者と雑談する機会があった。別に“転職”を議論したかった訳ではないが、そちらに話がいってしまった。
 発端は、中国での定着率の低さで苦しんだ話。自分の市場価値を高めようと頑張っている人が多いのだから、別に珍しくもない話だが、ちょっとニュアンスが違う。中国人でも、長期的に同じ企業で働きたい人もいるのだそうである。
 そこで、苦労して育てあげるのだが、日系企業に引き抜かれたりするという。大喜びで転職というほどではないそうだが、やはり、お金と高いポジションが提示されると、その魅力には勝てないということらしい。日系企業専門の人材斡旋業者もいるのだろう。
 お陰で、慢性的に人材不足だという。

 そんな話から、転職者が古巣からどう扱かわれるかについての話に移ってしまった。もちろん酒飲み話。
 日本企業のパターン分けが始まり、盛り上がってしまった。こんな話を表立ってする訳にはいかないから、学者には、この機微がわかるまい、と言いつつ杯を傾けただけだが。

 なぜそんな話が面白いかといえば、同じ産業でも、企業によってタイプが全く違ったりするから。
 いくつかご紹介しておこう。

 まずは、さもありなんという企業の話から。
 幹部と喧嘩別れして退職し、これで縁が切れたと思っていたら、突然、その幹部から退職者の内輪のパーティに呼ばれ、再び、古巣とビジネス関係ができてしまったタイプ。
 まあ、このバイタリティが強みの根源なのである。

 もう一つは、もともと、議論好きや勉強好きがあふれる会社。頭がよい人が多く、意見の対立を気にする体質ではない。そのため、転職者と縁が切れているのか、切れていないのか、定かではない。
 退職者のネットワークはあるようでもあり、無いようでもあるという不思議な関係である。

 現代の経営の焦点が、組織的に知恵を生み出す仕組み作りの競争に移行してきたが、それが、こんなところにも現れていると言えそうだ。

 それでは、転職者が少ない企業は皆一様かといえば、そんなことはない。
 ここを見落とすと、企業の実態がわからなくなる。

 典型例をあげておこう。
 経営幹部、管理職、第一線グループリーダーが同じようなことを言う、金太郎飴型の企業の話。
 外部から見ると、モノカルチャーで大丈夫かと訝ってしまいがち。だが、実態を見ると、そんなことは口が裂けても言えなくなる。
 ヒトの鍛え方が違うからだ。この鍛錬に耐えられない人は、おそらく、働くこと自体が無理ではないか。
 そう思ったのは、新工場稼動時の対応。
 生産プロセスやデザインの検討を他社より徹底しているのは言うまでもないが、そのレベルが違う。
 設備搬入前にダンボールで模擬工場ラインを作り、実際に、現場全員で、稼動のロールプレーを行なうのだという。そして、知恵を集め、世界最強の工場を目指すのだ。
 言うまでもないが、参加者は、この費用に見合った以上の大きな成果を出すことが要求される。そのため、試行時は、ただならない緊張感がみなぎるらしい。結果が出せないと、皆から、無能と見なされるということだろう。
 う〜む。
 こんなことができる組織など、そうそうなかろう。
 転職者が少なくて当然という気がする。

 --- 参照 ---
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