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2009.2.2 |
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政治家のご挨拶の質・・・オバマ大統領の演説には人々を動かす力があるそうだ。個人的な魅力もさることながら、優れたスピーチライターの起用が奏功したようである。 ただ、プロによる草稿の徹底的な推敲のお蔭というより、スピーチライターが改革チームの一員として全力投球した結果と見るべきだろう。 なにせ、6時間と眠らない生活なのである。執筆中は、“stays up until 3 a.m. and gets up as early as 5.”(1)というのだ。20代だからできる業。 と言っても、斬新な表現を工夫した訳ではなく、オバマ流の、今迄と違う切り込み方を取り入れたということのようだ。 その辺りは、オバマ候補に対して、ライターが語った言葉がわかり易い。・・・ “ People applauded not because you wrote an applause line but because you touched something in the party and the country that people had not touched before.”(2) 成る程。確かに、こんなアプローチはなかったのかも。 そこで、米国新大統領と比較して、日本の宰相は、・・・という話に移ろうかと思ったが、それでは余りに野暮だからよした。そのかわり、地方自治体の政治家の「お話」がどんなレベルか覗いてみることにした。 と言っても、小生が住んでいる東京都を取り上げても面白くないから、財政危機と言われる自治体で見た。・・・と格好をつけたいところだが、たまたま、出かけた先で新年に全戸に配られるリーフレットを目にしただけのこと。そこに、首長と議会議長の新年挨拶が掲載されていたので、読んでみたのである。 その読後感。
どういうことかと言えば、極く単純。 内容の薄い「ご挨拶」で済ます政治家と、これを読んで貰い、なんとか改革を進めようと考える政治家が並んでいる感じがしたからである。そこで、勝手に、それぞれを“Old”と“New”と呼んでみた。 もっとも、“Old”政治家のお話は「ご挨拶」といっても、それなりの内容は含まれている。ただ、言葉とは裏腹に、現実感覚や、危機感が伝わってこないというだけのこと。 どうしてそうなるか、右表にその文章構成を整理してみた。これだけでも、ご想像がつくかも。 少しご説明しておこう。 先ず、たった1頁しかないのに、一国の宰相が語るような経済環境の話を延々としていることが大きい。部外者から見れば、そんなに世界の話をしたいたら、冒頭の冗長な挨拶を削ったらよさそうなものだと思うほど。 国政に討って出たいのか、あるいは、そんな話ができることを示さないといけないと思っているのかも。ただ、書いてある内容は、どこでも見かけるようなものでしかないが。 まあ、そんな政治家が頼もしく見える土地柄ということなのだろう。「事務局長」のような政治家が喜ばれるということかも。 こんな一般話をすれば、肝心の「何をしたか」の印象が極度に薄まるのだが、それがわからないのだろうか。部外者には、それこそ、項目を羅列しただけの記載に見えてしまうのである。 この辺りの文章で比較すると、“New”政治家は優れている。何をしたか、わかり易く伝えることに全力投球している感じがするからだ。明らかに、政治のスタンスが違う。秀逸。 ここをしっかり書いているから、困難な問題に直面しているが、先頭に立って奮闘するから、協力頼むぜという話が生きてくるのである。 “Old”政治家の文章を読むと、そうはならない。それこそ、危機感を口先で語っているような感じがしてしまう。この地域は歴史があるから、皆で頑張れば、道は開けるという言葉が薄く響いてしまう。 読む方は、先人が築いた遺産を食いつぶして来たから、今の低迷を招いたのにと考えてしまうのである。 まあ、こんな検討したからといって、なんということもないのだが。 言の葉から垣間見える、日本の地方政治の質といったところか。 --- 参照 --- (1) ASHLEY PARKER: “What Would Obama Say?” NewYorkTime [January 20, 200] http://www.nytimes.com/2008/01/20/fashion/20speechwriter.html?_r=1 (2) Richard Wolffe(Newsweek Web Exclusive): “In His Candidate’s Voice The speech lit a fire. Meet Obama's editor.” Newsweek [Jan 6, 2008] http://www.newsweek.com/id/84756 苦笑いの目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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