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2009.12.15
 
 


2009年忘年会の与太話・・・

 師走だから、忘年会のビジネスマンの与太話のご紹介といこう。

 酔っ払いの会話は面白い。結構本質を突くことが多いからだ。
 ビジネスの“Myth”の真面目な話から、そのうち政治の“ドッカーン”話に移り、闊歩するトンデモ論の批判へと進む。とめどもない議論。しかし、本質的な問題を突いていることは確か。

 よく耳にする主張に、酔っ払いがどう対応したかふりかえってみようか。・・・(順不同)

■■■事業仕分けで徹底した無駄の削減を図るべし。■■■
 国の予算の無駄遣いを洗い出そうとする「事業仕分け」は大いに盛り上がった。あれは公開裁判だと言う人もいれば、無駄遣い根絶の貴重な一歩が踏み出せたという人まで色々。ハハハ。
 真面目に注力しているのを揶揄しているようで申し訳けないが、それはそれ、酔っ払いの議論。
 酒盛りでの結論はすぐに出た。・・・唯一の成果は、予算折衝が見えるようになったこと。それ以上でも以下でもない。
 そういえば、自民党でも、無駄潰し議論があったとか。知る人ぞ知る会議らしいが、こちらもほぼ同じことをやったらしい。もちろん、その結果はおとりつぶしとか。どこまで本当の話かは知らぬが、それに比べれば、新政権の対応は格段にましではあるらしい。
 だが、そんなことはどうでもよい。はっきり言えば、国家予算の大半は無駄金。余りにどうにもならない無駄遣いを切ったからどうにかなる問題ではないのである。要するに、問題の本質は、無駄のお陰で地方はなんとか食べていける状況がずっと続いているだけ。政権が変わったからといって、この無駄を切れるものかね。

■■■世界一を狙うスパコン予算は生命線。■■■
 「事業仕分け」で、大笑いになったのがスパコン問題。科学研究費の分捕り合戦の形相そのもので、「事業仕分け」批判が盛り上がったからビジネスマンには大ウケ。
 だいたい、このプロジェクト、もともとはベクトル型とスカラー型を融合したスパコン開発というもの。素人には皆目訳のわからぬビックリ仰天プロジェクトだが、それを誉めそやすのだから、日本には並外れた眼力の科学者が揃っていると評判だった。まあ、下手に発言すると、村八分にされて食べれなくなるから、誰も口外しなかったが。
 ビジネスマンの視点を維持しているベクトル型開発企業が、プロジェクトから降りるのは当たり前だ。
 それなら、米国を真似して、スカラー型で行くというのだから、その柔軟性たるやすでに世界一。

■■■米国の借金体質はけしからん。■■■
 借金体質は米国より日本の方がひどいのだが。
 国が、GDPの2倍の借金を抱えてしまったのは、個人の借金を国が肩代わりしているようなもの。地方の人達を食べさせるために、なんでもよいからバラ撒いただけのこと。要するに、地方は、税金バブルで楽しんできたのである。
 地方は、そんなことを永久に続けさせたい人ばかりだから、どうにもならない。米国の住宅バブルと同じで、いつかは破裂する。国債をリスクフリーと考えない人が登場したらおしまい。
 北朝鮮のデノミは他人事ではないヨ。
 いよいよ、EU加盟国から国債デフォルトが発生しそうだが、そんな波乱が一段落して、世界経済が上向いたら、次は日本ということになろう。金利が上がればひとたまりもないからだ。

■■■埋蔵金を拠出し、国債発行を抑えろ。■■■
 ともかく、何をしようと、税収が底をついているのだからどうにもならない。しかも、頼りの輸出は落ち込み続行は間違いないのだ。
 多分、2010年度は惨澹たる状況だぜ。どうせ、対前年度比プラスの数字を出してくるのだろうが、好調だった2007年度と比べなければお話にならないのだよ。常識的読みで輸出額の減少幅を考えて見れば、どうにもならない状況なのはわかりきった話。
 自動車と部品、機械のセクターは4割減間違いなし。電気は3割減。素材はそこまで落ちないだろうが、鉄鋼は2割減は越えよう。下手をすると3割減に近づくかも。化学は2割減まではいかないという感じかな。
 従って、ビジネスマンの直感的予測では、2009年度税収は35兆円。マニフェスト実現と不況・雇用対策をまともに推進すれば、次年度支出は確実に100兆円を越える。この差額が、この年の正味の借金。これが、当たり前の算数。
 剰余金や埋蔵金を駆使したところで、そんなものは借金返済のための原資にすぎない。早目に使い切って国債発行額を圧縮したところでたいした意味はない。せいぜいが、直近の金融市場に与える影響が多少変わるだけのこと。
 名付けて、破綻よ来い来い予算か。もちろん、こうなるのは、ビジネスマンにとっては予想の範囲内である。

■■■金儲けに走る金融業界が許せん。■■■
 貯金の利子とは金儲けの結果の配分だぜ。銀行に国債を購入してもらいたいのかな。
 だいたい日本でまともな金貸し先が簡単に見つかるものかね。貸して欲しいと言うのは、たいていは危ない会社や、政治がからむ胡散臭いプロジェクト。国内には貸す先もなく、貯金だけ集まってくるのだから、どこかに回すしかなかろう。

■■■早く成長戦略をつくれ。■■■
 もう20年近く、まともに経済成長できないのだ。マイナスを阻止したのは、自民党政治による公共工事と、輸出企業のふんばり。
 何故、それ以外がどうにもならないのか、理由もわからず、急いで成長戦略など作ったところで書類が増えるだけ。急いでやらなければならないのは、雇用創出である。
 これから数年は先進国は雇用増なき経済成長になる。訳のわからぬ産業政策を作ったところで、税金で食べる企業が集まってきて、事態を悪化させるだけ。

■■■電気自動車を早く走らせろ。■■■
 電気自動車を走らせれば、自動車産業の裾野の機械産業のほとんどは消滅するのだが、そんなことが労働組合が支持母体の政権にできるものかね。日本経済を支える柱だぜ。

■■■タクシーの規制を復活させよ。■■■
 規制緩和でタクシー運転手が食べれなくなったのは許せんと言う人多し。規制が必要なのだと。運転手の数が激増しすぎたから、後から雇用された人の首を切って、最初からいた人が気楽に食べられるようにしたいらしい。
 ほほう。官庁が計算すると、適正運賃がわかるし、交通の需給も読めるらしい。市場を神の手と呼んだ経済学者がいるが、日本では官庁委託の学者がご宣託を下すことで、経済は上手く回るらしい。
 計画経済を絶賛する社会主義者が入った政権になれば、こうなる訳か。
 ちなみに、資本主義社会の仕組みの常識からいえば、小泉政権の行ったタクシーの規制緩和は名前だけ。商売の仕組みに何の自由度も与えないのだから、これこそ規制業種の典型。実態からいえば、雇用の受け皿を作ったということ。

■■■ダム・橋・道路が必要な地域を切り捨てるな。■■■
 まともに税金を払えるような産業がない地域に、インフラ投資をしたい人達がいまだに存在するのには驚くばかり。危険地帯に緊急警告や迅速救助のシステム設置ならわかるが、バベルの塔のような土木工事を進めて何をしたいのかね。
 危ない時は、避難するのが一番。自然災害で財産を失ったら、それを皆で助けるしかない。自然の力を侮れば、どうなるかわかりそうなものだ。
 だいたい、今時、インフラ強化どころではなかろう。これから来る、既設大補修をどうするか考える方が先だ。考えるだに恐ろしくなる。
 そろそろ危なくなりつつあるインフラはそこかしこにある。毎年崩れる道路の補修工事で食べる生活に浸りきっているから鈍感になっているのでは。大規模改修とはそのレベルでは対応できないのだよ。そんなものがドッと出てきたら一体どうするの。
 先立つものが無いのに。
 どんな政党に頼んだところで無い袖は振れないのだせ。

■■■格差社会を作ったのはバブル長者を生む仕組み。■■■
 日本の新興勢力で、大金持ちになったのはほんの一部。まあ、目立つし、胡散臭さがあるのは事実。もともとルールを明確にしない社会だから当然の話。
 格差を生み出した根源は、そんな話ではなかろう。
 わかり易いのは地方。そこでは、年間所得50万円で、大きな家に住んで、普通の暮らしをしている人は少なくない。その一方で、年間所得100万円で貧困にあえぐ苦しい家もある。これが現実の姿。統計の数字では実態など全くわからない。
 どうしてこんな現象になるかといえば、発展途上国型の社会の仕組みが温存されているからである。既存の統治システムを上手く利用でき、今までの蓄えがある人達はお気楽というだけのこと。ただ、地方への先進地域からの援助額が減っているから、今まで通りにはいかない感はあるが。
 しかし、底辺は一挙に厳しくなっている。既得権益者に優先的に援助を吸い取られる構造ができあがっているのだからたまらぬ。這い上がる道は僅か。都会の方が少しはましでだが。同じようなもの。
 都会でわかり易いのは、公務員の職場だろう。肩を寄せ合って同じ仕事をしていても、片方の手取りは半額にも及ばない。もちろん何時雇用が失われてもおかしくないし、退職金制度とも無縁。
 楽勝組は、のんびり働き続け、そのうち年金で遊んで暮らせる。身分制度そのもの。それでも都会は地方とは違い、縁故採用が通用しにくいから、ましではあるが。

■■■金融機関がサブプライムローンを推奨するような社会にすべきでない。■■■
 間違えている人が多いが、日本はハイリスクローンだらけだよ。米国同様に破綻がバタバタ発生しても驚くにはあたらないのが現実。
 この先売上げは伸びる見込みはないし、利息も払えるかよくわからないにもかかわらず、真面目に仕事をしているのだから、金を貸せという企業だらけだから当たり前。
 そんな企業に貸付けざるを得ないのである。流石に耐えられないから、政府系の金融機関の保証をつけてたりして、この仕組みを温存している。おそらく、そんな保証を精査すれば、不良債権だらけだろう。
 そんな援助もできかねる、すぐに倒産しかねない企業も少なくない。従って、そのニーズに対応する金融業者があったが、それができないように規制したのだから驚く。おそらく、裏社会依存が進んでいるに違いない。
 もっとも、表社会のハイリスクローンはもっと恐ろしいドロドロした世界であると言われている。その実態は一握りの人しかわからない。これが日本の姿そのもの。

 まあ、酔っ払いの話は際限ない。この辺りで止めておこう。


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