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2010.5.18
 
 


黄昏日本・・・

 いよいよ“黄昏日本”の時代の始まりですなとポツリと言ったら、いや、もうそれを通りこしていると言われてしまった。
 確かに、そうかも。
 日本には人しか資源がないから、技術立国以外にあり得ない。21世紀目前にして、その路線がかなり危うくなったことを実感した筈。しかし、まともに手を打たなかった。
 それでも10年なんとかなったのだからたいしたもの。先進国がおしなべて技術に関心が薄れていたから、弾み車の慣性力でなんとなく地位低下が目立たなかったこともあるが。

 ・・・と言うのは正確ではないか。対応しなかった訳でもないからだ。
 マネジメントシステムが悪いと言われたため、物真似で、細かな管理手法を色々導入したのは確か。それが奏功したのは、よくて2割ではないか。残りは、手の打ちようが無い状況に陥っていそうだ。ただ、それに気付かない企業が多いが。
 中間管理職は細かな分析と報告書作りばかりに時間をとられ、現場は挑戦の気概を失っており、ただただ慌しく日々の対応に勤しむだけになってしまっても、まだまだ競争力があるとたかをくくっている企業ばかりだ。まだ、なんとかなると考えているのである。

 組織文化を変える一手を打つべきところを、悪い文化を増長させてしまったのだから、病根は深い。マネジメント教育が逆効果になっているということ。

 その結果、どんな状態になっているか、下の対比表で見ると多少はわかるかも。
〜 中国と日本の違い 〜
【 中国 】 【 日本 】
- 企業の長期目標 No.1 - 世界のトップの地位獲得
競争力の飛躍的強化
組織の維持(永続性)
正社員の雇用維持
- 将来の事業の姿の描き方 - ざっくりとしたビジネス像
商売の仕方
細かな数値
組織図と計画表
- 発展の原動力 - イノベーション創出
競争 (“豊かになろう”)
組織的一体感
協調 (“無理はよそう”)
- 海外の知恵の活用姿勢 - 良いものをすぐに取り入れよう
優秀な頭脳を引き込みたい
良いものはそうそう見つからない
先ずは自分達で議論してから
- 働く人の姿勢 - 働くことで飛躍したい
人生を賭けてみたい
生活を楽しむために働く
安定第一である
- 企業誘致への政治姿勢 - 長期的な税収の向上
海外からの投資大歓迎
創業時の地域需要創出期待
できれば外資は排除
- 外資によるM&Aへの姿勢 - 原則大歓迎
歴史やアイデンティティへの浸食は不可
心理的不快感
被買収企業の組織文化変更の極小化
- 設備投資の考え方 - 失敗したら他の企業が受け継ぐだけ
果敢な新鋭設備投資推奨
失敗だけは避けたい
リスクを考え設備投資額を抑制
- 公共インフラの特徴をどう見るか - ヒト・モノの流動性・効率向上を優先
利用料廉価 + 簡素で簡便
高品質なレベルでの一律的展開を重視
すべて高価格 + 過剰で複雑錯綜
- 公共インフラ整備計画をどう見るか - 長期戦略に整合すれば迅速導入
企業は経営的にも意味が大きいので期待
合意形成にできるだけ長時間
企業は経営計画上ほぼ無視
- 経営者に期待する特性 - 合理的思考と判断の的確性
グローバル的視野の保持
バランス感覚と関係者との親和性
ローカルな事情通
- 経営者の優劣判断基準 - 資質
個人としてのリーダーシップ発揮能力
経歴
所属閥の地位と所属組織の成績
- 不調プロジェクトへの対応 - 駄目そうなものは即廃止
優先プロジェクトへ集中
担当者の意向を尊重
個別に、方向転換をじっくり議論
- 街のお店のどこがよいのか - インターナショナルで活気あるのがよい
“世界から人と金を呼び込もう”は嬉しい限り
ローカル嗜好に合わているのがよい
“格調ある売り方”と“ビジネスの永続性”が誇り


 この状態で、今後どうなるかは自明なのでは。
 そうそう比較対照に中国とすること自体に違和感を覚える人がいるのが日本の現状。
 中国は、相当前に、単純労働を安く活用する場所ではなくなっている。日本と同じように、人の力で飛躍するしかないと考えているのである。人数はもちろん一桁上。
 誰もが、若い人達の目の色が違うというが、その通り。


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