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■■■ 聞き耳アワー 2013.9.11 ■■■
 
 

相性のお話


「アノ本、結構、面白いわヨ。」というオバさんの大きな声が聞こえたので、自然に耳が動いてしまった。

オバさん社会で流行っていることに興味がある訳ではない。生活に役に立つ情報のやりとりが盛んな方々だから、ご法度破りではあるが、ついつい聞いてみたいとなる訳。それに、役に立たないようなトンデモ話でも、思わず笑ってしまうようなものが多いし。新作落語より質が高かったりするから、電車内の暇つぶしにはもってこい。ただ、笑いを噛み殺すのが難しい場合もあるが。

ところが残念なことに、この直後の話を聴き損じた。
しかし、中吊り広告の本を話題にしていることだけはわかった。文庫化されたようだから、出版は数年前だと思うが。
そのコピー曰く、・・・
私は、素晴らしく「相性」の合う女性と出会い結婚できたといえる。

で、その後の会話が面白かったのである。
  「あなたのところは?」
  「そんなの知ってるでショ。全く駄目ヨ。」
  「そうね、ウチも同じ。」
  「でも、そこがよかったんじゃナイの。」
全員で高笑い。

うーむ。なかなか本質的なところを突いていらっしゃる。流石、オバさん。

思うに、「相性」などそうそう合うものではない。たいていは無理に合わせているだけ。しかし、そう考えたくないから、合っていると称するもの。
それは結婚だけの話ではなく、母と子の関係にも言える。

ここを理解していない人が多すぎる。
そう思うのは、子供と上手くつきあうスキルを伝授しようと考える人がそこいらじゅうに存在しているから。体験に基づいて、子供との仲を良くする子育て方法を教えようとする人はことのほか多いのである。
これは、全くの勘違い。子が親に合わせただけのこと。たまたま、そういう子供が生まれたということ。
親のスキルのお陰で関係が上手く構築できたと考えるなど、思い上がりもはなはだしい。

子供の性格は千差万別。
本来は、親との相性が合うことは滅多に無いと考えるべきだろう。親に合わせるより、自己主張したい子供も少なくないということ。親から見れば、なにかしようとすると、必ず子供に邪魔されると感じる訳で、気が休まるまい。そんなこと思いもよらなかったという方だと、子育てノイローゼに陥ってもおかしくない。

それを、「成功」体験からのアドバイスで防ぐことは無理筋。
急ぐべきは、相性の違いを知ること。日本の社会は、体質の違いが小さいことを前提としているから、このスキルが欠けている人が多そう。従って、問題に直面すると、お手上げになってしまうのである。

まあ、認識スキルもさることながら、その上を行く手もあろう。
相性が合わなくても、それを享受して愉しんで生きればよいのである。オバさん達が持つスキルは垂涎モノ。
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