>表紙 >目次 | ■■■ 面白話とは限らない 2013.11.4 ■■■ | |
| そろそろ、生徒の成績発表の時期か今から3年前、学校でのテストを巡る会話から、・・・ 「僕ねー、数学の試験88点だったんだよ。」 「まあ、よかったじゃない。頑張って勉強したからネー。 で、前回10位だったけど、どうなの?」 「うん。9位さ。」 「そりゃ、昔みたいにトップとるのは大変よ。 湊君と田島君のどっちがトップだったの。」 「それがさ、二人とも駄目。満点がでたんだヨ。」 「それじゃ、あの優等生の猫嶋君?」 「猫嶋君93点。2位なんだ。」 「それじゃ誰?」 「上山君だよ。トップ目指すって言ってたジャン。」 「そうカー。目の色違ってたもんネ。 あんたも、しっかりしなさいよ。 今の調子じゃ、大人になったら苦労するんだから。」 「国際生徒評価のためのプログラム」は3年毎に行われる。 いよいよ発表だが、今年の会話はどうなるのだろうか。 前回の結果は、時代の変遷を感じさせるものだった。特に、数学の歴代1位を眺めると。 2000年 日本 2003年 香港 (日本は 6位) 2006年 台湾 (日本は10位) 2009年 上海 (日本は 9位) ただ、これは平均点。 これから重要になるのは、優秀な成績を収める生徒がどれだけいるか。ドングリの背比べではどうにもなるまい。そして、忘れてならないのが、落第生が出てていないかという点。 数字で見てみよう。 ---数学リテラシー [2009年PISA]--- 【"特にハイレベル"な層の厚さ】 上海26.6% シンガポール15.6% 香港10.8% 台湾11.3% 日本6.2% 【"特にローレベル"な層の薄さ】 上海1.4% シンガポール3.0% 香港2.6% 台湾4.2% 日本4.0% 【平均得点】 上海600 シンガポール562 香港555 台湾543 日本529 上海・シンガポール・香港・台湾と比べると、日本の劣位状況は一目瞭然。 ただ、そんなことに注目する人はいなかった。 2009年の65ヶ国調査の結果は時代を画すものだったからだ。なんと、上海がすべての分野でトップを占めたのである。流石、独裁国だけのことはある。国として全体がどうなっているかなどなんの関心も無く、先を走る上海でなにがなんでも1位をということ。 実際、上海では、家庭も、生徒も、先生も、学業で良い成績を修めるべく切磋琢磨を重ねていることが知られており、この結果も当然という声が上がる訳である。そして、それを見て、コリャとても競争になるまいと考える人達は、「人生成績だけじゃないからネ」という言葉で対応することになる。勉強に精をだせるのも実力のうちであり、この辺りでまあ精一杯ということなのだが。 どうしてここまで教育に熱心になれるかとえいえば、中華文明に洗われた地域ではよく知られた言葉があり、科挙の時代からガリ勉は当たり前だったから。(日本は科挙はとりいれなかったが。) 一年之計、莫如樹穀 十年之計、莫如樹木 終身之計、莫如樹人。 [管子 第三篇權修] この大昔の主張をどう読むかは人それぞれ。 種を蒔いて育てる1年計画で生きるだけの農民的発想ではどうにもならんゼと、貧農の人々の頭にコレを叩き込んだ英雄は毛沢東である。そして、権力を掌握するや、植林をさせたのである。10年計画の世界に持ち込んだ訳である。 しかし、同時に、自力でなんでもできるゼというトンデモ躍進政策も打ち出した。そのお蔭で、人民はえらい目にあった。にもかかわらず、それに懲りず、徹底的なエリート叩きによって、失った権力を再度手中に入れたのはご存知の通り。このため、数学の試験成績にこだわるような方々は、すべて頭を必要としない単純労働者にさせられたりして、ひどい目にあわされたのである。紅本丸暗記こそが人を育てると称し。 実に素晴らしき反面教師だった訳だ。 お蔭で、上海は、世界で一番教育熱心な地域と化したのである。実利さえ伴えば、ヤル時はヤルということを世界に見せつけてくれたのである。 かつては、極東の島国ってすごいネとの、なかばやっかみを籠めた賞賛もあった訳だが、今やかたなし。 こんな話を突然始めたのは、子供向らしい、「ニュースのおさらい」という記事にでくわしたから。OECDの成人対象テスト結果が結構詳しく解説されているので面白い。ただ、ニュースというには古い話。 そろそろ2012年の生徒対象のPISA結果が公表される直前なので、ここらで関心を集めておこうということだろうか。 その内容だが、「読解力」、「数的思考力」、「ITを活用した問題解決能力」の3分野のうち、前2者は日本がトップだが、ITは10位で普通の成績でしかなかったというもの。その想定理由が記載されている。・・・ 日本では、 パソコンで答える方法に慣れなくて IT能力の問題に答えなかった人が多かったが、 その人たちも母数に含めて割合を計算したため と言うことは、IT以外の質問でも、要求通りにパソコンで回答できない訳で、わざわざ紙で答える気にならなかった人が大勢いそうと考えるのが自然。母集団が偏っているので要注意である。 とはいえ、生活で必要な基本的能力が身についている点では、先進国のトップと見てよさそう。しかし、ビジネススキルとなると心もとない状態ということになろう。 尚、16〜24歳の結果では、IT能力は14位でOECD平均を下回っているとのこと。スマホ命の生活者だらけの年代だから、当然の結果と思われる。 ただ、「金額を正確に計算する」といった数的思考力は3位で、「文章をどれだけ理解できるか」との読解力では1位。 (PISA) http://www.oecd.org/pisa/ (PIAAC) OECDによる成人の技能に関する調査/Programmefor the International Assessment of Adult Competencies 2013/10/8 (記事) (ニュースのおさらい)大人の国際テスト 日本が好成績 2013年11月2日12時43分 朝日新聞デジタル 苦笑いの目次へ>>> トップ頁へ>>> |
| (C) 2013 andDManagement.com |