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■■■ 聞き耳アワー 2013.11.27 ■■■
 
 

山オジ日本


中央線に乗ったら、山帰りと思しきオジサン2人の向かい側に座ることになった。
お二方は会話に夢中で、こちらの存在など全く眼中にないご様子。その話題は何かといえば、登山ギアやウエア類一切。ブランド名のような大雑把なものではなく、型式のレベルで細かく評価するのには驚いた。こちらにはサッパリイメージが湧かないが、会話は盛り上がっているのだ。しかも、その知識たるや、業者並みとくる。
これが1時間も続いたのである。

うーむ。

女性用ウエアはファッション性も高いし、山スカなるものが流行ったこともあるそうだから、それなりに会話がはずみそうな気がするが、山オジは今やそれを越えていそう。

お陰で、自分が、相当に時代ズレしていることを悟らされた。
小生が。登山靴を買ったのは、遠の昔である。高田馬場の手作り職人の作品がどうしても欲しかったが、3年待ってくれと言われ、残念ながら諦めた覚えがある。結局、選びに選んで買った訳だが、その靴は今でも使える状態なのでは。ただ、長丁場コースに行かないから、とんと履いたことがなく、メインテエナンスゼロで、自信はないが。
そもそも、夏に、デッキシューズで歩けるような場所にしか行かないから、不要品と見なすべきか。

だが、どうも、そうしたハイキング程度の方々でも、凝った作りの高価な山靴を数足持つのは当たり前の時代らしい。もちろん、この他に、ハイキングや散歩用も別途揃えるのは当たり前のようだ。
ビブラムの底、良質の皮、こなれた型といった山靴と、軽量の編み上げ靴というジャンル訳の頭からすると、まさに目から鱗の話だった。
専門店に行くと、様々な要求に応える、高機能靴が揃っているようで、そこから選ぶのも、又、愉しみの一つのようである。
驚いたのは、靴を消耗品と考えている点。軽くて履き心地の良い手のモノは2〜3年で捨てるらしい。何故かといえば、ウレタンを使っているから、寿命が来る前にということで。小生など、樵用との触れ込みのデッキシューズ型の靴のビブラム底を張り替えたりするクチだが、そんな輩は今や非常識の部類かも。ただ、気になるのは、靴はなんといっても足に合うかどうかだ。そんな恐れは今やなくなったのだろうか。

ザックは、皆さんブランドものを持っているから、ファッション性で購入しているものとばかり思っていたら、これにも相当な拘りがあるようだ。何をどう詰めるかとか、外側に取り付けるものの絡みもあり、どれを選ぶかは結構重要なことらしい。
しかも、デイパック/アタックは別として、機能を考え、ザックは数個持つのが常識だそうで、それがわからない輩を批判していた。こちらは、聞いていて冷や汗モノ。ザックは大は小を兼ねるなどという御仁は今や博物館行きらしい。
小生など、軽量アルミフレーム剥き出しの背負子型箱型ザックで歩き回っていたが、大分昔からそんなものは手に入れたくても売ってない。軽いし、泥道でも立てかけておける上に、背中が蒸れないので好みなのだが、そんな人はいないようだ。ただ、通勤通学者と同じ時間帯の車両に乗るのは顰蹙モノだから、どこにでもありそうなザックで我慢していたが、実は色々とあるらしい。もちろんお値段もはるだろうが。

そうそう、山オジ会話で、今迄不可思議だったスパッツ着用の謎が初めて解けた。泥よけだけでなく、水よけとして重要なのである。防水なのに、水蒸気は放散するとの、高機能靴は蒸れずに履き心地抜群だが、欠点があるというのだ。足首から水が入ると靴の中がグショグショになって、どうにもならなくなるため、そこを防御するのは鉄則らしい。
アイゼンともどもスパッと捨ててしまった身には驚きの用途だった。

しかし、会話の雰囲気からすると、かなりのオタク。こうした方々が牽引する形で、登山人口増が実現してきたということか。
だとすれば、底は浅いブームかも知れぬと思ったりもする。

ところが、よく引用されるレジャー白書の最新版37号によれば、登山人口は2013年1月現在で相変わらず増加中とか。登山、キャンプ用品の買い替え・買い増し需確も伸びているという。
しかし、社会生活基本調査[総務省]からラフに推計すれば、「登山/ハイキング」実施者は減っているのである。どこまでを「登山」とするのかは曖昧だから、これらをどう読むかは難しいものがあるとはいえ。
  平成23年: 1,000万人
  平成18年: 1,100万人
  平成08年: 1,500万人

ともあれ、市場が伸びているのは嬉しい限り。小生はほとんど寄与していない感じだが、山オジ効果絶大ということか。
会話から察すれば、日本の山ギア・山ウエアがアジアの人々を虜にする可能性もありそう。これほど微に入り、細に入り、かつハイテクな製品が次々と登場するのだから。
モールにこうした製品を販売するお店をおけば、日本への買い物ツアーの魅力度は格段に上がるかも。


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