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☀ 📖■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2016.10.19 ■■■
化粧と香
今村与志雄が逸文として、趙合德[n.a.-B.C.7年]の「九回香」を取り上げている。成式的唐朝史の一頁として、玄宗が"此瑞龍腦香也。"と言って、貴妃の面影をしたう話[→]があるが、そのオマケコラムのような感じもする。
ソースを見ると、確かに、出《雑俎》である。
このような文章。・・・
九回香
趙飛燕妹婉奸名合德
毎冰以几回香膏髮
其薄局號遠山黛
施小朱號惰來糠
雜阻 [宋 葉廷珪撰:「海録砕事巻六 飲食器用部 香門」＠欽定四庫全書]
モトネタと思われる書から引いておこう。
合德
新沐，膏九回沉水香。
為卷髮，號新髻；
為薄眉，號遠山黛；
施小朱，號慵來妝。
[漢 伶玄:「趙飛燕外傳」]
趙飛燕の妹、合德は、
沐[＝洗髪:"浴"＝洗身体]に際して、
９回香水をつけ、膏を塗った。
その上で、髪を巻いた。
コレ、名付けて「新髻」と。
さらに、薄眉に。
コレ、名付けて「遠山黛」と。
そして、軽く小さ目に朱を施した。
コレ、名付けて「慵來妝」と。
特に、「遠山黛」は漢代に大流行したようだ。
合德の姉、趙飛燕[B.C.45-B.C.1年]は美貌だけで後宮入り。
＜歌妓→婕妤→成帝の皇后→皇太后→庶人→自殺＞という道を歩いた。
そのつてで、妹の合德も成帝寵妃に。そして、＜婕妤→昭儀/合徳→自殺＞。
ついでといっては何だが、同じソースの次の文章も逸文になっているので。・・・
石葉香
欲熏羅薦
嫌龍腦須為尋求石葉香
段成式
羅[＝目の粗い薄絹織物]や薦[＝敷物]に御香を焚きしめて、薫らしたいと思うなら、
龍脳はやめ、石葉香を探し求むるがよかろう。
：段成式
どのような香か定かではないが。
《拾遺記》曰：
“此香疊疊，状如雲母，其氣辟癘。
魏文帝時題腹國獻。”
[陳敬:「香譜」]
思うに、成式は密教的感覚での博物学的整理は好きではなかったのであろう。知的とは言い難いから。
そんなこともあって、香りを重視する仏教に帰依していたにもかかわらず、香気的曼荼羅の世界には興味が湧かなかったようである。
小生だったら、沈香は如来に捧げる香りと耳にしたことがある位のことを書く。菩薩なら白檀、梵天は龍脳、金剛力士は丁子、緒王は薫陸香だと、といった具合。
(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.
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