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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.1.15 ■■■

バクらしき獣が登場する。・・・

貊澤,大如犬,其膏宣利,以手所承及於銅鐵瓦器中,貯悉透,以骨盛則不漏。
  [卷十六 廣動植之一 毛篇]

犬程度の大きさ。その油脂を軟膏に使うと、浸透力抜群。容器に入れておいても、染みわたってしまうほど。
骨器だと漏れない。

貊は、貉とも、貘/[バク]/Malayan tapirとも。ただ、ツングース系民族名でも使われる文字だから、なんとも。
貘は"身體像熊,鼻子像象,眼睛像犀,尾巴像牛,腿像老虎"とされるので、バクが一番あたっているということか。バクは"似猪不是猪、似象不是象。"だから。 [→]

腹を撫でられる(デッキブラシで掻くのだが。)ことが無常の喜びのようで、豚的であり、水中に入るのも好きだから、かなりの脂肪をつけた動物であることは間違いない。
それにしても、パンダ並みの珍獣ではないかと思うが、脂の情報が伝わっているということは、狩猟の対象だったことがわかる。昔は、東南アジア一帯にはいくらでもいたのかも知れぬ。しかし、すでに唐代には、その状態ではなくなりヒトに見つからないような場所に逃避する以外に生き延びる手無しになっていたということ。

小生がそう思うのは、バクは犀や馬と同じ、<大型化草食系蹄系哺乳類>と見ているから。要するに、走行特化型の奇数の蹄タイプの動物ということ。(但し、バクだけは前肢4つ、後肢3つ、だが。) [→]

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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