表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.3.9 ■■■ 神草わからぬ。・・・神草, 魏明時,苑中合歡草状如蓍,一株百莖,晝則衆條扶疏,夜乃合一莖,謂之神草。 [卷十九 廣動植類之四 草篇] 魏 明帝[在位:226-239年]の頃、 御花苑で栽培されていた草。 合歡草状であるし、蓍/鋸草にも似ていると。 株立ち型で、その数、およそ100茎。 但し、そのように茂るのは白昼のこと。 夜になると合わさって纏まってしまう。 人々は「神草」と呼んだ。 現代感覚だと、「神草」は、雲南〜広西の深山に自生する多年生草本の朝鮮人参類縁の「三七(3枝7枚葉の意味)」になるらしい。("金線蓮/Jewel orchids"が対抗馬かも。) 紡錘状の根が高額な薬として取引されており高名。(それにしても、薬草には目が無い社会である。)但し、唐代には知られていなかったらしい。 日本だと、さしずめ岩場に生える日本山人参か。(外見は朝鮮人参に似ているが、芹の仲間なので、植物分類では縁が薄い。) 茎が夜になるとまとまるという話は聞いたことがないが、葉の上下旋回運動は様々な植物で見られるから、そんな植物があるのかも。豆類は、夜になると葉をたたむものが多いから、その系統ではないかと思うが。 動く植物ということで、成式はかなり興味を持ったに違いないが、もう少し情報を残してくれればなんとかなったかも知れぬのだが。 ダーウィンと息子による1880年の著作"The Power of Movement in Plants"に登場するので、「悲しき舞草」の場合はわかったのに。[→] 「神草」は残念ながらお手上げ。 (ちなみに、「植物の運動力」は翻訳本がある。植物に、動物のような知的活動があることを指摘する内容であるから、無視され続けてきた本である。 神草の運動は、教科書的用語では"概日性"となろう。名前はついているが、メカニズムが解明されたとは言い難い。この辺りにご興味があるなら、BBCサイモンズの「動く植物」がお勧め。) (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |