表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.7.25 ■■■ 蛇酒-II蛇酒作りのため、大量に殺戮していた御仁が蛇に鼻を咬まれ、瘡を患い、ついに鼻がもげた話[→]が収載されているが、こちらは初めの蛇酒で実効感を味わった人の話。・・・馮坦者,常有疾,醫令浸蛇酒服之。 初服一甕子,疾減半。 又令家人園中執一蛇,投甕中,封閉七日。 及開,蛇躍出,舉首尺餘,出門,因失所在。 其過跡,地墳起數寸。 [卷十五 諾皋記下] 馮坦はいつも疾病を患っていた。 そんなことで、 医師から、蛇を浸けた酒を服用するように命じられた。 初めてそんなことをしたのだが、小振りの1甕をのんでしまった。 そのお蔭て、疾病が半減。 ということで、家人に命じて、 家園で蛇を一匹捕らえさせて、甕の中に投入れた。 封をして密閉、七日経った。 そこで開けてみると、蛇が中から躍り出て来た。 鎌首を1尺ほど上げ、門から出て行ったがそれっきり。 所在わからず行方知らずに。 その這っていった痕跡をたどっていったのだが。 その先の地面には、数寸もの墳ができあがっていた。 蛇酒は現代でも人気の高級滋補品。三蛇酒、五蛇酒、蛇胆酒、蛇鞭酒、亀蛇酒、等々が売られている。 歴史は古そうで、すでに、周代に存在していたといわれているようだが、「神農本草経」に記載されている訳ではなさそう。 いかにも大陸的風土での人気。毒を持つ超能力の覇者の力を、身体に取り込もうという発想である。 その割には、毒蛇が絶滅しないのが不思議ではあるが、今一歩のりきれない理由もあるのだろう。・・・ただ、血抜きの上で内臓/臭腺を除去しないと、糞尿を出させて消化器内を空にしても、活蝮酒は相当に臭いのではなかろうか。[秩父の狐が出る宿でもらったきたマムシ酒の経験]逆に、それが効く感じを醸し出しているのかも知れぬが。 そうそう、酒に漬けて7日たっても、生きていたというのは、それほど驚くようなことではない。 完璧な溺死状態でなければ、呼吸さえ可能ならママで数週間は生きているし、冬眠能力もあるのだから。 現代でも、3ヶ月漬け込んだ土球子という毒蛇に咬まれたとのニュースが流れる位だし。 (リウマチ治療用に造った、と。・・・"哈爾濱:毒蛇泡酒3個月后竄出咬傷農婦手指(圖)"[2013年09月08日13:33 東北網@人民網]) (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |