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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.8.22 ■■■

クチナシは非聖樹

梔子とはクチナシの漢字である。
   「見方が分かれる芳香花木」[2014.9.13]

西域的な花として見られているとして、取り上げられている。花弁がどうのこうのの部分はどうでもよく、最後の部分が肝。[卷十八 廣動植之三 木篇]・・・

【梔子】,
諸花少六出者,唯梔子花六出。
陶真白言,梔子剪花六出,刻房七道,其花香甚。
相傳即西域【瞻蔔花】也。


当時の社会では、
 "梔子"
  =西域の花"瞻蔔花"
  =梵語"champaka"
  =漢訳語例"金色華"
と見ていたようだ。
"瞻蔔華"は仏典にしばしば登場するので、憧れの対象だったと思われる。
"香草"、"黄色花樹其樹高大花氣遠"と言うのだから。[佛典辭書類]

芳香という点ばかりに注目するから、違いを見逃してしまいがちだが、一般的にクチナシの花弁の色は真っ白である。すぐに褐色化してしまい、そうなると見苦しさが目立つから誰でも知っていると思う。
黄色で、まさに金色のような輝きという手の花ではなかろう。色変わりの変種だけが入って来たとするには無理がありすぎる。

つまり、"champaka"と呼んでいた人達からすると、クチナシではなく"黄蘭 or 木蘭/金厚朴/Champak"なのである。

植物分類学上でも、クチナシは茜の仲間でありいかにも歌謡曲の題材に適した俗っぽい樹木。
一方のキンコウボクは古代臭を感じさせる木蓮系であり神憑り的な雰囲気を持つ招霊木。両者は相当な違い。
日本では「梔子≠金厚朴」は感覚的に最初からわかっていたと思われる。キンコウボクとは、金香木を示唆している名称であるのは自明だからだ。現代の日本人が、青いポピーにほのかに抱く感情で呼んでいたに違いない。要するに、神々の山々である、ヒマラヤの金香木ということになる。

とても、同一視できる類の木ではないのである。

と言えば、おわかりだろうか。

国際派の成式が、聖なる樹木と崇めている国があるとの情報を得ていない訳がない。金香木は中国の南部にも生えていただろうから、実際に見ていた可能性も高いし。

その金香木だが、花弁は見た瞬間四分五裂的に映る。重なりあっているから枚数はよくわからないが、16枚位あるのでは。
わざわざ、梔子の花弁の数を持ち出した理由はそこにある。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

上記で、植物分類学上で、クチナシは茜の仲間と書いたが、アカネは遠縁で、近縁はコーヒー。・・・
(or 赤根)/茜草/Madder…染料
○蟻通(or 一両)/虎刺(伏牛花)/-
○八重葎/猪猪殃殃/Bedstraw…人里近隣の藪や荒地
○屁糞蔓/鷄矢藤/-…悪臭
○車葉草/-/Sweet woodruff…芳香, 腐敗物は有毒
○白丁花/六月雪(or 滿天星)/June snow…もっぱら園芸種
○八重山青木/檄樹/Indian mulberry/NONI@Hawaii…染料@インドネシア, ジュース@ポリネシア
○吐根//Ipecacuanha…アメーバ赤痢薬
○西表草/雪花/-
○母丁子(or 琉球青木)/九節/(Psychotria)
○大和草/日本假繁縷/-
○瑠璃実の木/粗葉木/(Lasianthus)
●崑崙花/玉葉金花/-
●キナの木/金納樹/Quinine tree…マラリア薬
◎山丹花(or 三段花)/龍船花/Chinese ixora…観賞用(赤花-緑葉)
口無/梔子花/Gardenia…中華七香の一つ, 食品着色料
◎珈琲の木/"common" Coffee

├胞子
種子
├裸子(蘇鉄,銀杏,松,一位,グネツム)
被子
├睡蓮系
├木蓮・楠系
├単子葉
真生双子葉
├古生花(離弁花)
合弁花
others
┌──杜仲
│┌┤
││└──ガリア,青木
││
││┌─○
││┌┤《広義でのアカネの仲間》
│││├─●
│││└─◎
││┌┤
││││┌ゲルセミウム,マチン
│││└┤
└┤│└竜胆,夾竹桃
└┤
└─紫蘇,茄子


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