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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.8.26 ■■■

青草塊

「卷十九 廣動植類之四 草篇」のわからぬ草。・・・

【青草槐】,
龍陽縣裨牛山南有青草槐,叢生,高尺余。
花若金燈,仲夏發花,一本雲迄千秋。

郢州武陵郡龍陽縣@湖南漢壽の裨牛山の南に
【青草槐】が群がり生えている地あり。
その草の高さは1尺余り。
花は【金燈】の如し。
開花時期は夏半ばの陰暦五月。
ある書籍によれば、秋の終わりまで咲いていると。


「本草綱目」に【山慈姑/金燈/無義草】が引かれているので、【金燈】についてはすでに取り上げた。[→]
こちらも、どのような植物かわからなかったが、甘い野蒜と推定してみた。

たとえ、それがわかっていても、【青草槐】が【金燈】にどういう観点で似ているのも不明であり、どうにも手のつけようがない。(それに、ここでの金燈は植物名でない可能性もあるし。)

どうにもならぬので、記載されている姿に注目せず、感覚的に【青草槐】が何かを強引に推定してみることにした。
ただ、一尺以上に伸びるし、黄色で大きい花ではなく、小さな白い房状の花なので、余りにかけ離れていると言われれば、その通りではあるが。・・・
 茎はまっすぐに立つ。
 葉は10〜15cm程度で密集。
 草丈約1m程度で、7〜10月開花。
 至るところに繁殖。
 放置すると秋までに1.5mに伸びる。
 冬前には2mに達するが霜の季節には枯れる。
 しかし、翌春になると茎から芽が出て来る。
 そして再び繁茂。


これなら、まさに【青草槐】そのものと言えないか。

この植物名は「苧麻/殻蒸/カラムシ/Ramie」。
古代の重要な繊維作物である。
成式は、龍陽縣裨牛山が原産地ではないかと考えたのではあるまいか。繊維用はもちろん栽培種だが、この地では自生しているということ。つまり野生種。[野真苧]
この植物は様々に分化しているようだ。どれも房花ではあるが、赤色もある。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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