表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.10.14 ■■■ 楓香樹の実楓という文字はカエデなりと暗記させられているので、ほんの一瞬、違和感を覚える一文がある。「酉陽雑俎」の最後の項[今村INDEX:1244]である。・・・ 楓樹子大如雞卵,二月華已乃著實,八九月熟,曝乾燒之,香馥。 漢字の「楓」とは"楓香樹"。 → 「拘りの命名だらけの紅葉木」[2012.9.26] おそらく、語源は、風が吹くと、ほのかに香りが漂うとされるのだろうが、はたしてどうかナ感はある。その香りとは、葉や樹皮に含まれる安息香的な成分だとすれば、葉を揉むとか、樹皮を破砕しないと成分は発散しないように思えるから。 さて、ここでは葉や樹皮ではなく、実の方である。見たことが無い人だと驚くのかも知れないが特別ヘンテコという類のものではない。 この実だが、未成熟期は弾力があるが熟すにつれて木質化する。普通は、3cm程度の球形。[唐代の鶏卵は小さかったのか。]軟い棘だらけの集合果である。多分、種は羽根付で風で拡散するのではないかと思うが、想像であり、調べて見た訳ではない。 漢方ではこの実の乾燥品が"路路通"と呼ばれているようだ。煎じて飲むのだと思う。 「本草綱目」木之一 (香木類三十五種)では、引用表記は無いが、ほとんどママで記載されている。・・・ 【楓香脂】 [釋名] 時珍曰: 楓樹枝弱善搖,故字從風。俗呼香楓。 《光明經》謂 其香為須薩折羅婆香。 [集解] 頌曰: 二月有花,白色。乃連著實,大如鴨卵。 八月、九月熟時, 曝乾可燒。 おそらく、成式は、乾燥させてとっておいたものを、たまたま焼いてみたら芳香がしたということで書き留めておきたかったのではないか。 南方では、凄い力がある木と見られていることもあるし。 《玄中記》言: “楓脂入地為琥珀。” [卷十一 廣知] (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |