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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.11.21 ■■■

白鼻心は美味か?

牛尾貍とは、霊猫類花面狸系の果子狸 or 白鼻心/ハクビシン/Masked Palm Civetのこと。・・・

洪州[@江西南昌]有牛尾貍,肉甚美。

格別珍しい動物ではなさそうである。
グルメの成式としては、アッ、忘れていたということで追加したのだろう。

後世だが、味にうるさい蘇東坡が詠んでいる位だから、それなりの美味食材として名前が通っていたのは間違いあるまい。
  「送牛尾狸與徐使君」  宋 蘇軾
 風捲飛花自入帷,一樽遙想破愁眉。
 泥深厭聽頭鶻,酒淺欣嘗牛尾狸。
 通印子魚猶帶骨,披綿黄雀漫多脂。
 殷勤送去煩纖手,為我磨刀削玉肌。


ハクビシンは果物を大いに好む美食家であり、脂肪がきめ細やかに肉質に入り込んでいるので美味なのであろう。現在の主棲息地は横断山脈周囲の亜熱帯低山叢林だが、各地に亜種が存在するところを見ると、昔はそこここに居たと思われる。
東京にも棲む位なので、丈夫で、対応力抜群ではあるものの、本来は群集性のようだから、美味となれば大陸ではそうそう生きていけるものでもなかろう。経済動物化の道を歩んでいることだろう。

尚、分類学上は、麝香猫[→]の類縁にあたる。…靈/Indian civet, 熊狸/Binturong, 斑林狸/Spotted linsang, 椰子/Asian palm civet, 果子狸/Paguma larvata
  ご参考→ 「雑食野獣揃い踏み」[2014.10.25]

【注記】 閲覧していないが、SARS騒動で中国のハクビシン食文化に関心があつまったようだ。・・・「ハクビシン ものすごく美味説を追う」週刊朝日 109(9), 37-39, 2004-03-05 朝日新聞社
尚、その後、自然宿主で無いと判定されている。


(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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