表紙
目次

📖
■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.11.29 ■■■

生殖無き虫

社会的制度を持つ虫の話。

侍蟻は大軍勢で繰り出し、黒山蟻の住処を襲う。皆殺し作戦で臨むのだが、幼虫と卵はすべて拉致し、自分達の奴隷としてこき使うのである。
あるいは、侍蟻の女王が一匹で黒山蟻の王城に乗り込み、そこにいる女王を殺して自分がその座に収まるのである。
この種の挙動はかなり特異に映るが、蟻族の社会制度という目で見るなら典型例と考えてもかまわぬのではなかろうか。
要するに、蟻の巣では、出産する雌は1匹しかいないのである。
蜂の習性も似たようなもの。

その辺りを、成式がどこまで知っていたかは定かではない。
その制度は理解していなかったかも知れぬ。・・・

羸,
今謂之也。
其為物純雄無雌,不交不産。
取桑蟲之子祝之,則皆化為己子。
蜂亦如此耳。

♂だけで、♀無し。当然、交接もなく、出産も無い。
「桑蟲」の子を取ってきて祝を行えば、
すべて自分の子に変身するのである。
蜂も又、同じタイプ。


【翳翁】[似我蜂/ジガバチ]はすでにとりあげた。[→]・・・
小生の書斎にはこの虫が沢山いる。
書の巻物が好きなのだろう。
筆の管の中に居たり。祝詞のような声も聴こえる。
時に、巻物を開いてみると、悉く小さな蜘蛛。
大きさは蠅取蜘蛛の如き。
泥で隔離するのだが、
「桑蟲」ではないことを知ることになる。


(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>>    トップ頁へ>>>
 (C) 2017 RandDManagement.com