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2000.3.18
 
 


産学共同教育…

 企業の研究者・技術者が大学で講師をつとめるのはよくある。マネジメントに昇りつめた方の問題意識に触れたり、企業研究第一線の生々しい動きを知ることで、学生も刺激を受けるから概ね好評だ。しかし、多忙な企業人の好意に甘えた企画が多いようだ。

 このような教育の仕組みがある限り、大学教育の変革は進むまい。お互い、何を得るつもりなのか曖昧だ。しかも、好評というだけで、実際に役に立っている証拠は何もない。

 よく知られているように、ゲーム業界では、学生こそ宝を生むポテンシャルを持つということで、学生にソフトを教えるのみならず、優秀な学生には開発機器も与える。両者のビジョンが合うから当然だ。
 いまだに、こうした動きをきらう教育機関がある。管理できない外部が教育に絡むことを拒否するのだ。
 そのような制度をいつまでも続けていると、大学の技術教育は役に立たなくなりはしないか。

 テキサス・インスツルメンツのCEOの話しによれば、同社は世界中の900校でデジタル信号処理のコースを教えているのだという。欧州や中国を含む、世界中の大学のこの分野の主要研究所から、輩出してくる学生は、同社のソフトの知識が頭に入っている訳だ。
 特定企業に繋がるのはこまるといっても、この分野の世界のプログラマーの大半は同社のソフトを利用しているから、知らないと役に立たないのである。それに、ソフトを知るからこそ、その欠点にも気付き、同社に対して挑戦するベンチャーが登場するというダイナミズムの世界が広がっていく。


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