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2003.6.13 
 
 


初等教育担当者の質…

 小学校で教育管理業務を担っている人の話を聞く機会があった。中堅商社の営業から小学校教諭に転身し、十分な教師経験を踏まえた上の現職だから、筋金入りの実践論者だ。

 真っ先に、先生の犯罪報道を指摘し、学校はどうなっているのか尋ねてみた。・・・そんな事件は例外的、という表向きの答が、すぐに返ってきた。

 しかし、色々話を聞いていくと、実情はすぐにわかる。学校関係者に、多種多様の事件が発生するのも当然だ、という印象は拭えなかった。
 教職を天職と考え、毎日孤軍奮闘している教師に囲まれて生活していると、本音を外部に語ることなど、できないのだろう。

 何といっても、圧巻は、教職に向いていない人が学校で働いている点だ。教育に興味を持っていないし、生徒の指導などできそうもないにもかかわらず、教師になる人がいる。しかも、これが少数ではない。
 問題がおきない方が不思議である。

 当然ながら、学校における管理業務の中心は、このような非適格教諭に対する「指導」にならざるを得まい。非適格な先生が担任になれば、クラスは混乱状態に陥る。父兄も心配して学校に相談に来る。しかし、解雇できない仕組みだから、解決の妙薬などあり得まい。(驚いたことに、破廉恥行為を働いても、懲戒解雇されないらしい。)

 といっても、このような例が充満しているとはいえない。これが問題を複雑にしている。極端な例として片付けられるからだ。
 ところが、よく考えれば、こうした例は氷山の一角ともいえる。一見、平穏に見えても、面白くない仕事を毎日続けている先生がいる限り、何時か爆発する。学校は、危険な温床を抱えているのだ。

 昔なら、管理職の大半の仕事は、政治活動家対処だったらしいが、今や、非適格教諭への対処のようだ。問題児は先生の方にも存在する。
 ここにも、「学級崩壊」加速の原因がありそうだ。

 ビジネスマンの視点では、そもそも、教育に興味がない人を採用すること自体が驚きだ。といっても、この状態を放置している、との批判は当らないらしい。効果は別として、教育実習を長くするなど、対処策が実行されているからだ

 しかし、どのような施策を出したところで、大学生の意識が変わらない限り、効果ゼロと言わざるを得まい。
 実態は、本屋に行けばすぐにわかる。教師になるためのハウツー本は定番商品だ。調査レポートや、専門家の話しを聞くまでもなく、この本を眺めれば実態は一目瞭然である。コネで入るためのコツまで記載されている。ビジネスマンから見れば、恐ろしく歪んだ世界に映る。

 そもそも、教員免許取得者が卒業生の3割近い大学教育を認めていること自体が異常だ。ほとんど有名無実の資格と言ってよいだろう。そして、資格を取得した学生が、なんの社会的経験も踏まずに、教職に入ってくる。
 社会常識に欠ける先生や、ファーストフードショップのアルバイト感覚で働く先生が登場してもおかしくない制度といえる。

 こうした実態を踏まえない限り、初等教育の改革など画餅に終わる。


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