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2014.3.7

大学の峻別化が必要では…

大学生協の学生生活実態調査は、平均的な大学生像がみえてくるので、一度ご覧になることをお勧めしたい。
この調査に気付いたのは、全国紙のニュースからだが、流れたのはこの程度のデータ。せいぜいが、変化あったか程度のコメントしか付いていない記事。
 1日の読書時間: 26.9分
 全く本を読まない: 40.5%
 毎月の書籍費: 1,790円

コレ、もう少し詳細を見ておかぬとわかりにくいのでは。
 1日の読書時間: 2004年→2013年 増減%
  (男子 自宅生 ) 31.4分→31.5分 +0.3%
  (男子自宅外生) 25.7分→27.5分 +7.0%
  (女子 自宅生 ) 32.7分→25.4分 -22.3%
  (女子自宅外生) 30.4分→22.1分 -30.1%

なんと僅か20分強。これでまともな読書ができる筈もなく、ほとんどの大学生は読書などしていないということ。授業に出て、ノートをとり、試験のために、その内容をできる限り暗記するだけの勉強しかしない訳である。平均にして、1日1時間を越える学習などありえないのが現実。本も読まないし、勉強もしないのである。
女性はそんな大学の現実をよく見ていると思う。大学での学習など、実生活にほとんど意味なし考えている可能性は高い。まあ、学生生活を通じて、社会で上手く立ち回るための人間関係のスキルを磨くことができれば万々歳というところではないかな。

思うに、今時、月3,000円程度の予算では、まともな学問はできかねるのではなかろうか。専門書なら1冊買えるかどうかというレベルの気がするが。
 1ケ月費用: 書籍費 勉学費
  (自 宅 生) \1,740 \1,140
  (下 宿 生) \1,820 \1,510

小生の感覚だと、本気で学びたいなら、書籍費だけで、最低月額1万円は欲しいところではないか。それが無理なら、図書館活用しかないが、そのようなニーズに応える仕組みになっていないだろうから、どうしているのか気にはなる。

大学も、この辺りをどう考えているのかはっきりさせた方がよかろう。
本気で学ぶ学生を集めるつもりか、このレベルの大学生でよしとするか、姿勢を明らかにすることが出発点ではなかろうか。「暗黙の了解」ではなく、「明示的な方針」に基づいた運営に転換すれば、それは結果に必ず現れるものだからだ。
片や、ピカ一を選りすぐることに注力できるし、他方は質の悪い学生を切ることに励めばよいのである。現在は、どちらも、大学内でのドングリの背比べ状態。
これは不毛ではないかネ。

わかりにくいか。
こういうこと。

たいして勉強をしない大学生は、70点と72点の差での競争に意味があろう。そんな競争がつまらぬことは当の学生が一番知っているが、評価されるから致し方ない。落第点をとる訳にはいかないから、それなりに対処することになろう。だが、それを通じて、自分が何をしたいのか考えることになろう。皆と群れて一点差の競争に明け暮れる生活を続けるのが好きなら、そうすればよいだけ。馬鹿げていると思えば、自分で道を切り拓くことになろう。
一方、本気で学ぶ層には、90点と89点の差で競争してもらってはこまるのである。100点とか、授業のレベルに不満を覚える学生になってくれないと。当然ながら、そんなことが可能なのは一部の学生。そこから漏れた大部分の学生は、それを見て、自分の立ち位置を考える必要に迫られよう。自分は90点を取れる優等生なのだと叫んだところで、それを評価してくれる人がいないかも知れないのである。そうなれば、自分の力を最大限に発揮でき、皆から認めてもらえそうな領域を自分で見つける以外に手はなかろう。

(データソース) 第49回学生生活実態調査の概要報告 全国大学生活協同組合連合会 2014年2月26日 http://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html

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