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2003.11.21
 
 


進み始めた電子版組み化…

 官公庁の書類の電子化が着々と進んでいる。
 インターネットによる情報公開が当たり前になり、すでに多くの書類がPDFファイル化されている。

 例えば、京都市は「平成14年度から京都市公報を発行しないことと」した。印刷公報を止めたのである。それに伴い、公布/公表は「公報への登載」から「役所の掲示場への掲示」に変わった。
 (公告式条例改訂 http://www.city.kyoto.jp/somu/bunsyo/kouhou/h1404/0430_400/jou.html#jou_01)
 公報は役所内の配布は不可欠と思うが、一般の人にとっては、わざわざ購入するような書類ではなかろう。インターネット版公報になれば、検索も簡単にできるし、誰でもが何時でも即時閲覧できる。自然な流れだ。将来は、これが当たり前になると思う。
 (京都市の閲覧頁 http://www.city.kyoto.jp/somu/bunsyo/kouhou/)

 ここで注目すべきは、予算削減を目指した、印刷発注を止める動きである。
 もしも、書類を役所自らで作成し、プリントは個々の閲覧者が勝手に行なうなら、業者への支払いをカットできる。この流れが始まっているのだ。

 印刷機能のうちの前段階の「原稿から版組み」までを役所が担当し、後段階の「原版から紙への印刷」を閲覧者が担当していると言える。
 今までは、どちらも専門家が行っていた分野に、突然素人集団が入ってきたともいえる。
 公報は簡単なものだから、印刷を廃止できたが、そうでないものは今後も紙の印刷物が残るかもしれない。しかし、部数が少ない印刷物なら「原稿から版組み」の部分を素人が担当するようになるのは、時間の問題といえよう。特段の知恵が必要ない業務は、コンピュータ代替が進むのは当然である。

 ついこないだまでは、版組みといえば、活字を版に組み上げる作業を意味した。職人芸の世界である。小部数の公報も、活版で印刷していたのである。
 ところが、ここに写植が登場した。活字不要の世界が開けた。
 当然ながら、写植の電算化はすぐに進む。但し、この電子化は基本的にアナログである。しかも、高額な上、素人では使えないシステムであり、衝撃的という程のものではない。
 活版が、電算写植→版下→製版という流れに変わっただけだ。しかし、電算写植機に投資した企業が多いから、この仕組みは現在も活き続けている。

 ところが、コンピュータの性能が急向上し、価格も下がったため、状況は一変した。パソコンレベルで版組が可能になったのだ。しかも、デジタルだから、文字と画像を一緒に扱える。いわゆるDTP(Desk Top Publishing)である。写植機操作のプロフェッショナルが不要な時代が到来した訳だ。
 もっとも、日本は、DTP化の流れは遅れている。日本語表現の要求が複雑なため、当初のDTPソフトの力が弱体だった上、高額な写植機が稼動中だからだ。

 しかし、90年代のコンピュータ能力の進歩は凄まじい。パソコンのDTPソフトで、写植の能力を凌駕できるようになった。ソフトの力で、「原稿から版組み」までは、安価で短時間で完成する仕組みが整ってきたのである。
 版下作成の価格破壊が発生しているのだ。


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