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2004.4.27
 
 


地方経済再興のバリア…

新聞協会会員地方一般紙(3)


北海道新聞●+
室蘭民報+
十勝毎日新聞
釧路新聞
苫小牧民報

東奥日報+
デイリー東北+
陸奥新報
岩手日報+
岩手日日新聞
河北新報●+
秋田魁新報+
北羽新報
山形新聞+
庄内日報
米沢新聞
福島民報+
福島民友新聞+
いわき民友

茨城新聞+
常陽新聞
下野新聞+
上毛新聞+
桐生タイムス
埼玉新聞+
神奈川新聞+
千葉日報+
東京新聞●+

山梨日日新聞+
信濃毎日新聞+
長野日報
南信州新聞
市民タイムス





静岡新聞+
中日新聞●+
名古屋タイムス+
中部経済新聞+
東愛知新聞
岐阜新聞+
伊勢新聞+
夕刊三重新聞



新潟日報●+
北日本新聞+
北國新聞+
北陸中日新聞○+
富山新聞+
福井新聞+
日刊県民福井○+

西
京都新聞●+
大阪新聞
大阪読売
大阪日日新聞+
神戸新聞●+
奈良新聞+
紀伊民報

山陽新聞+
岡山日日新聞
中国新聞●+
新日本海新聞+
山陰中央新報+
山口新聞
宇部時報
島根日日新聞
防長新聞

徳島新聞+
四国新聞+
愛媛新聞○+
高知新聞○+

西日本新聞●▲+
佐賀新聞▲+
長崎新聞▲+
熊本日日新聞▲+
大分合同新聞▲+
宮崎日日新聞▲+
南日本新聞○▲+
鹿児島新報
南海日日新聞


沖縄タイムス▲+
琉球新報○▲+
八重山毎日新聞
宮古毎日新聞
● Japan Web News(4)
○ 東京新聞の提携先
▲ プレス9(九州沖縄合同)(5)
+ 共同通信社加盟
 新聞(一般紙)の発行部数はここ10年、ほとんど変化していない。(1)
 世帯数の増加と、世帯当りの購読部数減少が相殺しているためである。
 安定した、巨大市場といえよう。

 現在、全国有力一般紙の朝刊の年間購読料金が3万6千円程度である。
 どう見ても、紙面の半分は広告で占められており、発行部数も巨大だ。これならもっと安くできそうに思うが、難しいのだそうだ。
 実際、収益性は悪いのである。不思議なビジネスである。

 米国では、首都のスタンド売りでも、せいぜい50〜75セントだが、日本では130円とか、150円である。1年購読なら、長期契約割引はビジネスとしては当たり前だから、全国紙USAToday が119ドル、ビジネス紙Wall Street Journal が175ドルで購入できる。
 余りの価格差に驚かされる。

 昔から言われているように、再販制度(値引禁止)と、専売制度(重複した非効率な配達インフラ)のお蔭でこうなっているのだろう。
 (もっとも、年功序列制による重い人件費負担が根本原因だ、との説もよく聞かされる。米国では、使命感から、ジャーナリストになりたい人が溢れているため、競争は厳しく、給与レベルが高くなくても運営できるそうだ。)
 もっとも、公正取引委員会の調査(2)によれば、再販制度など何処吹く風で、2〜3割の値引販売が実情のようだ。

 一部の新聞社だけが、夕刊廃止、電子配送、廉価化、といった新風を吹き込もうとしているが、今のところ全体の流れは変わりそうに無い。
 日本の消費者は、極めて保守的なのだ。

 といっても、ほとんどの新聞社はウエブを持っている。どれを見てもたいして変わらないものばかりだが、データベース化が進むきっかけにはなる。これが、業態変化のきっかけになると期待していたが、そのような動きも微々たるものだ。

 ウエブはあるが、内容量が余りに少なく、読み物のレベルに達していないのである。まともな論評は極く一部しか掲載されない。
 ウエブは読んだところでたいした情報は得られないから見るのは無駄だ、と認識させるために公開しているようなものである。

 それでも、過去のニュースのアーカイブが完備されていれば、便利である。検索で、一瞬のうちに知りたいことがわかるからだ。
 ところが、用意されている検索のほとんどが有料だ。しかも、極めて高価なのである。とても、個人が手を出せる価格ではない。
 要するに、一般読者をウエブに呼び込むつもりは無いのだ。当然ながら、起業家への情報提供サービスなど埒外である。

 どう見ても、マーケティングの発想を欠く業界である。
 顧客ニーズに合わせた紙面作りを考えたことはなさそうだ。

 とはいえ、地方紙は、そうは言っていられまい。人口は減るから、パイは縮小する上、電子編集化により全国紙地方版も力を発揮できるようになってくる。今のまま続けているなら、将来の見通しは暗い。
 従って、合同や、相互乗り入れが進むと期待していたが、さっぱりその兆しが無い。

 せいぜいが、九州で、共同ウエブができた程度だ。
 全国版(Japan Web News)もあるが、そこからの一歩がなかなか進まない。「026で999」の広告で関東地方で有名な新聞社が、他社の記事を紙面にも活用してはいるが、相互乗り入れとは程遠い。
 本格的な動きといえば、中国、神戸、京都の3新聞社の統合データベース稼動位のものだ。(6)

 余りの保守性に驚く。危機感は無いのだろうか。

 官庁や企業のリリースを流すインフラができあがっている全国紙は、なにもせずとも意見を述べたい有名人が寄って来るから、それこそ情報垂れ流しだけでも食べられるかもしれないが、地方紙は無理だろう。ウエブによる情報公開が進めば、地元のリリース情報を提供するだけの印刷ビジネスは、早晩消滅することになろう。

 一体、沢山ある地方紙は、どのように対応しようと考えているのだろう。

 普通なら、地元密着型の深堀り路線を追求することになろう。
 おそらく、そのような考えで業務を進めているのだろうが、現実には、そうした流れとは無縁と言わざるをえない。
 例えば、洞察力豊かな記事や、地元ならではの深層を抉る優れた論評を、掲載しているなら、それは他の地域にとっても十分魅力的な筈だ。データではなく、ものの見方を提供できれば、地方紙に人気が集まる可能性さえあるのではないか。
 (他の地方紙が掲載する気になれないなら、それは、些細な情報提供ビジネスであって、深堀路線ではない。)
 さらに、紙面の質を高めたいなら、全国紙で登場しそうな論評を、地方紙に掲載するシステムを導入する必要があろう。地方紙が共同で同一論評を掲載すればよいだけである。
 何故、こうした簡単なことができないのか理解に苦しむ。

 本当にメディアとしての発信能力があるなら、その力を集めれば、魅力的な媒体になるチャンスはいくらでもあるのだ。

 ところが、そのように考える地方新聞社は稀なようだ。
 今の状態を変えたく無いとしか思えない。

 これで、地方経済再興が進むだろうか。
 新潮流を生み出すきっかけや、新事業アイデア創出の端緒を提供すべきメディアが、現状秩序維持の旗振り役を果たしている、としか思えない。

 --- 参照 ---
(1) http://www.pressnet.or.jp/data/01cirsetai.htm
(2) http://www.jftc.go.jp/pressrelease/02.november/02112903.pdf (ファイルが壊れているようだ。)
(3) http://www.pressnet.or.jp/kaiin/kaiinlist.htm
(4) http://www.jwn.ne.jp/index_au.html
(5) http://www3.kumanichi.co.jp/wwwpress9/whats/whatsp9.html
(6) http://www.kobe-np.co.jp/x-db/report.html


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