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2005.1.6
 
 


コラムニスト氏の一言…

 パソコン雑誌の記事をまともに読んだことはなかったのだが、記事の一部がウエブで読めると聞き、眺めてみた。

 実に面白い。

 専門家が推算した、ゲームソフトの「510億1000万円の経済効果」に関する、パソコン分野のテクニカルライター氏の批判的エッセイが掲載されているのだ。(1)

 冒頭から、どんぶり勘定を積算した作った予測数字を、有効数字4桁で記載する非常識さが指摘されている。

 正当な批判である。

 しかし、これ以上に問題なのが、専門家の見方の浅薄さ、と言えそうだ。

 「RPGにハマっている人間がいかにカネを使わないかという事実から、意図的に目をそらしている」そうだ。
  (註 RPG:ロールプレイングゲーム)

 そのテクニカルライター氏の実体験に基づけば、ゲーム三昧のマニアは凄い生活をしているらしい。

 ・外出せず
 ・仕事をせず
 ・本も読まず
 ・恋もしない。

 「ヘタをすると、・・・ニートになって静かに年をとる」らしい。
  (註 ニート[Not in Employment, Education or Training] :就業、就学、 職業訓練のいずれもしていない人)

 う〜む。

 集団に合わせた生活に適合できない人は生きていく場を見つけづらいのかもしれない。
 ロールプレイングゲームは、そのような人達に貴重な場を提供しているようだ。

 この著者はどうやってゲーム浸りの生活から足を洗ったのか知りたいと思って調べてみたが、わからなかった。
 しかし、若者に人気があるコラムニストとして活躍中ということはわかった。(2)

 驚いた。

 人気があることに驚いたのではない。
 テクニカルライターにもかかわらず、通常お目にかかるコラムニストを越える洞察力を発揮しているからだ。

 日本のコラムニストに洞察力が欠けているとは思えないから、まともに洞察力を働かすと食べていけなくなるのかもしれない。

 ・・・と考えさせられたのは、メディア業界に関する、このコラムニスト氏の次の一言を読んだからである。

 「同調的な人間は生き残り、孤立した人間は排除される。そして、調子を合わせる能力が称揚され、孤立をおそれぬ勇気は忌避される。学校でのいじめも同じだ。強弱ではなく、孤立/同調の文脈で起こっている。
 一億二千万人による横並び圧力。
 いやな国だなあ。」(3)

 残念ながら、いやな国だと思いながら、やむを得ず生活している人がいるのである。

 確かに、メディア業界には、とんでもない文化を守り続けようと頑張っている人達が大勢いるようだ。

 この業界では、常識や倫理を無視しても、「風」に合わせることが必要らしい。餌食になりそうな人を探して、よってたかって叩くのである。
 一緒になって叩く姿勢を見せると、業界人として認めてもらえるのだろう。
 いやな業界である。

 どう見ても、個性や創造性重視から程遠い、時代錯誤の文化と言えよう。

 --- 参照 ---
(1) http://www3.asahi.com/opendoors/zasshi/pkon/odajima/20050101.html
(2) http://www.wanet.ne.jp/~odajima/rireki.html
(3) 小田嶋隆のメディア評“ワイドドシャッター” 「テレビ界の空気を読む能力」(Yomiuri Weekly 2004年11月21日号)


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