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2005.2.25
 
 


GOLDBERGに想う…

 バッハ「ゴルトベルク変奏曲(GOLDBERG VARIATIONS)」と言えばGlenn Gouldの演奏が定番である。切れ味鋭い、モノラルのデビュー版(1955年録音)は凄い。

 そして、晩年のステレオデジタル版(1981年録音)も素晴らしい。
 こちらはうってかわったような、ゆったりとした流れだ。聴きながら思わず眠ってしまいそうになる。
 眠れない夜には最適かもしれない。

 一端、ゴルトベルクが好きになると、さらに色々な人の演奏を聴いてみたくなる人も多いのではなかろうか。

 しかし、様々なCDが簡単に入手できる訳ではない。
 どうやら聴けたのは、Peter Serkin(1965年)、Karl Richter(1979年)、Andras Schiff(1990年)、Andrei Gavrilov(1992年)。違いは歴然としているから比べるだけでも楽しい。

 オーセンティックな演奏が好きな人なら、古楽を定着させたLeonhardt(1978年)もリストに加わるだろうし、若々しいバロック演奏がよければ、1646年製チェンバロの音色が楽しめるTrrevor Pionnock(1980年)も嬉しいだろう。
 しかし、頑張っても、この程度が限度なのである。

 もともとは200以上の膨大な録音版が出版されているらしいが、残念ながら、聴けるチャンスはほとんどないのが現実である。 (1)

 すぐに手に入るのは、大概が昔の定番モノである。インターネットの時代に、こんな状態がいつまでも続いている。

 と考えていたら、高橋悠治(2004年)の作品(2)が登場してきた。

 冒頭から、おっとっと、と躓くような演奏だ。
 とてもバロック音楽という雰囲気ではない。
 評価は大きく分かれると思う。

 個人的にはどうしても好きにはなれないのだが、このような演奏が聴けること自体は素晴らしい。

 演奏家が楽しんで作りこんだ作品を聴くのは楽しいからである。

 ・・・とつくづく思うのは、曽根麻矢子のフレンチ・チェンバロでのお洒落な演奏(1998年録音)を思い出すからである。
 おそらく、聴けば、誰でもが、曽根さんは本当にチェンバロが好きなのだなと感じると思う。演奏家が楽しんでいるから、聴く側も楽しくなるのである。

 昔の定番の焼き直し(3)も結構だが、このような新鮮な作品がどんどん登場する仕組みを作って欲しいものである。

 --- 参照 ---
(1) http://www.a30a.com/goldberg/gvjdisc.html
  この膨大な内容には感嘆させられる。
(2) 試聴 http://www.avexnet.or.jp/classics/artist/takahashi.htm
(3) 半世紀前に録音したマスターテープからリマスター盤を作成した作品が登場しつつある。
(注) 90年代の録音では、熊本マリ(1993年)もある。
   

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