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2005.5.30 |
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放送+通信産業の見方 (3: 視聴料支払い拒否運動とは)…産業論から一寸離れて、個人的なテレビ感の一端を語ってみたい。テレビは余り視ない方だと思う。正直なところ、1日見なくても気にならない。 外出先の部屋でなにもすることが無い時は、なんとなく眺めていることもあるから別だが、1日4時間はとてもいかない。(1)但し、スイッチをつけっぱなしにして見ていない時もあるから、結構長いのかも知れないが。 いずれにしても、しっかりと視ている訳ではない。 それでも、テレビは極めて重要なメディアだと考えている。 ところが、働き始めた頃は、どうでもよいメディアと思っていたのである。 不思議なことに、当時の視聴時間は長かった。朝の出勤までの時計代わりだったし、帰宅してからも、総合ニュース番組を始め様々な番組をじっくりと見ていたと思う。それに、ながら族としてのスポーツ中継。1日4時間という数字もうなづける。 その後、多忙になり、テレビを持たなくなった。他にやりたいことが多すぎ、テレビを視る気にならなかったのである。 つくづく変わったと思う。 社会も、産業も、当時から相当変わったのだから当然といえば当然だが。 もっとも、視聴時間の統計から言えば、テレビの視聴スタイルをずっと守り続けている人がほとんどであり、これほど変わったのは例外的ということになるが。 現時点で、どんな番組を見ているかちょっと考えてみた。 家にいると、総合ニュースは時々しか見ない。どのチャンネルにするかも特に決めていない。天気予報も、この時、たまたま出くわすいったところだ。 それに、声のトーンが妙に高くて耳につく女性アナウンサーが多いので、ニュース番組は敬遠しがちである。 昔は、ニュース以外の様々な番組を沢山見ていたと思うが、今では番組表を見て、面白そうなものがあれば見ることもあるという程度である。 視聴時間で考えれば、民放よりNHKの方が長い。 と言っても、NHKの番組が面白いという訳ではないし、NHKのドラマ類を視ている訳でもない。 「おしん」が放送されていた頃は、NHKの朝の連続ドラマや日曜日の大河ドラマはかかさず見ていたような気がするが、いつの間にか全く関心を失ってしまった。 それでは何に時間を費やすかといえば、NHK衛星放送の「おはよう世界/World News Hour」である。 毎日必ず全部見るほどは熱心ではないが、結構見る日が多い。世界中のテレビ局のニュース番組からトップニュースを適宜選んで流してくれるから、見続けると他国の見方がわかるような気になるのだ。 世界を震撼させた事件があっても、フィリピンでは俳優の話題でもちきりだったりする。英米のトーンの違いもわかる。アラブの意見もよくわかる。まさに百聞は一見にしかずである。 しいて好みの番組をあげろと言われれば、NHKの「クラシック ロイヤル シート」(2)という番組になろうか。もっとも、時々視るだけだが。 その他は、面白そうな特集番組を発見したら見る位だろう。 この程度だが、NHK受信料(衛星カラー契約(3))は支払っている。安価と思ったことはないが、額に見合った価値はあると考えている。 定常的に見ていない番組を評価するのも気がひけるが、スポーツ、ドキュメンタリー、教育といったジャンルでも、NHKは結構よくやっていると思う。細かな点では数々の不満があるが、合格点をつけるべきだろう。特に、流行りそうにない企画や、どう見ても視聴者数が少ない番組を、品質を維持しながら放送している姿勢は高く評価すべきだと思う。 大リーグの試合や韓国製恋愛ドラマを流行らしたのがNHKであることは象徴的である。営利企業ではハイリスクな番組に挑戦できないということに他ならない。 そして、特筆すべきは、災害などの事態に際しての情報伝達の仕組み作りに力を入れてきた点だろう。何かあったら、大抵の人は先ずNHKを視るのではないか。信頼できる情報源と見なされているのだ。 まさに、ライフラインの役割を果たしているのである。 と言っても、政治に関して中立の立場で放送していると考える人などいまい。公共放送とはいえ、その点では、民放とたいして変わらないのは致し方あるまい。 このため、面白くない人は多い。気持ちはわからなくはないが、度が過ぎた恣意的な報道をしない限り、それほど重要な問題ではなかろう。 建前だけの中立報道をしていれば、誰も視なくなるだけの話である。 それより緊要な課題は、公共放送を維持することではないのか。 ・・・と思うのは、この仕組みを瓦解させようと動く人達がいるからである。 NHKは組織的に腐敗しているから視聴料を払わないというのである。 お陰で、受信料収入が前年度と比較して70億円程度の減収だそうだ。(4) それでは改革が進むなら、支払わなかった分を後から一括して支払うつもりか、不払いの人達に聞いてみたいものだ。 おそらくそんなことはあるまい。格好をつけて、お金を払わずに済ませようという姑息な動きとも言える。 この手の人達は昔から大勢いる。もっともらしいポーズをとり、自己の利益、なかんずく既得権益確保に汲々とするタイプである。 そもそも、なんの罰則規定もなく、支払うかはモラルだけの問題なのである。そして、過半の人は黙って視聴料を払っている。 視聴料支払い拒否運動とは、この風土を壊そうという動きである。こんな動きを囃すのはどうかしている。 公共放送はいらないと主張したいとか、国営放送局に衣替えさせようと考えているのなら別だが。 --- 参照 --- (1) http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/field/data/gt0901.xls (2) http://www.nhk.or.jp/bsclassic/ (3) http://www.nhk.or.jp/eigyo/jyushinryo/index.html (4) http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/giji/ メディア業界の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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