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2006.10.25
 
 


TVポータルのコンセプトは理解できない…

 日本のデジタルテレビメーカーが協力してテレビポータルサービスを行うそうだ。
 言うまでもなく、テレビにインターネット回線を繋ぎウエブを見れるようにするとの話。とうの昔に語られ尽くされたサービス形態で、すでに始まっているのだが、上手くいっているようには見えない。
 共同で始めれば普及が進むと考えたのかも知れぬが、こんなやり方でビジネスになるものだろうか。

 部外者には、それこそ、計画経済国家が進めている企画のように映るのだが。

 間違えてはこまるが、頭で考えた理屈から、こうした動きを批判しているのではない。
 現在行われているサービスを使ってみた実感から、こんなビジネスが成り立つのか疑問を感じるだけのこと。

 実は、つい先日、とある地方で、テレビポータルの“出前”欄を見たのである。どうせ“工事中”表示と思ったら、一軒掲載されていたので驚いた。お〜、そこまで頑張っているのか、と思ったのだが、よく見ると新幹線で数駅離れたお店。自動的にコンテンツが揃う筈がないから、当然の結果だろうが、これから揃っていくものだろうか。
 まあ、この程度は致し方ないが、画面を見てもさっぱり愉しくない。何故かといえば、パソコンに慣れているからだ。パソコンに比し、表示が粗く、情報量も少なくすぐに飽きてしまった。その上、画面移動も鈍い。
 それでも、テレビとの2画面表示が可能なら、使う気にもなろうが、そんな配慮はない。
 はっきり言って、見る気力が失せた。

 それでもテレビのウエブを見たい人とは、珍しもの好きを除けば、テレビゲーム好きと、株価をテレビで流しっぱなしにしたい人位ではないかと思う。
 これが、正直な“感想”である。

 と言っても、利用者はパソコンを使うのが面倒な人を想定している、と説明されれば、うなづく人もいるかもしれぬ。しかし、テレビだからといって、入力が簡単になる訳ではない。面倒さはたいしてかわらないと思う。
 (高機能テレビはすでに素人には手に余る機器になっている。この現実を直視すべきだろう。端子を見れば、その状況がわかる。3種類のアンテナ端子と、従来からの黄色・赤色・白色の画像/音声[RCA]端子に加え、様々なものが並ぶ。−−−S映像端子、D映像端子、Y・Pb/Cb・PrCrコンポーネント映像端子、パソコン用アナログ画像端子、HDMI端子、i-LINK端子、光デジタル音声端子、電話モジュラー端子、LAN端子)

 しかも、見れるのは、限られたページのみ。折角、インターネットと繋がるならデータ放送とも連動するのかと思えば、現在の仕組みでは、データ放送での送信は電話線を使うしかないらしい。(面倒だから、データ放送の通信など使う気がしないが。)

 これを見ていると、本当は、インターネットの活用を広げたくないのではないかとの疑念さえうまれてくる。
 ともあれ、テレビのディスプレーではインターネットのウエブを自由に見せたくないのは確かなようだ。
 もともと、世間一般に通用するウエブのHTMLとは、できる限り親和性がないように、TV専用の特殊ブラウザと、TV専用の特殊ホームページ記述言語にこだわったのだから当然かも知れぬが。

 とはいえ、閉鎖的な仕組みでも、テレビは大型画面で楽しめるのだから、大きなビジネスチャンスがありそうだとは、誰でもが感じているに違いない。ところが、これからようやくストリーミングに対応するレベルのようだ。ビデオ購入に必要となるハードディスク対応にいたっては、ずっと先のこと。家庭内のネットワークなどさらに先という訳である。
 それでも、JAVAでも動くなら、ゲームを流すせば流行る可能性もあると思うが、そんな話もきかない。

 部外者には、何をしたいのかさっぱり理解できない。

 もっとも、家電のパソコン対抗策と言われて騒がれた時から、不可思議なコンセプトではあった。
 今でも、インターネットの将来を語っていた大学の先生が“テレビの大画面で個人宛メールを見たい人がいるものだろうか”と話したのを思い出す。

 日本の家電産業は、日本だけに通用する、複雑な機能を付加した商品と、それをサポートする特殊なサービスに注力することで生き残るつもりのようである。
 こうした方針がどんな結果を招くかは、自明だと思うのだが。


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