■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2012.11.9 ■■■

   卒塔婆に使う木

クリスマスツリー用と言えば、お洒落な感じがするが、卒塔婆用というとなんとなく暗い。もちろん、前者からすぐにそれはモミの木とわかるが、後者は材木だからモミとは知らない人がほとんど。
このモミの木だが、見慣れているから、よく知っていると考えがちだが、カヤあるいはイヌガヤとすぐに峻別できる人は少ない。もの知りから、モミは葉っぱの先が二つに割れているからすぐにわかるヨといわれればその場でフーンと納得するが、素人にとっては結構難しい。葉形が綺麗に揃っていないのがモミと勝手に解釈しているが、それだと確実に間違うらしい。

尚、クリスマスツリー用は、正確には、モミではなくてウラジロモミ。そう言えば、葉の裏が白くて綺麗だ。ただ、それが選ばれた理由ではなさそう。モミと同じように樹形が真円錐に近いが、巨木化しなくて手頃ということだと思われる。イベント用の大木はたいていモミだから、そう見たにすぎないが。

卒塔婆に使われる理由の方はおそらく単純。板の上部に五輪形状を作る上で、加工し易いことが決め手になったのだと思われる。その上、木理が素直で、芯まで白色。しかも軽いからお墓まで運ぶのに便利だ。そうそう、墨が滲まないことも重要かナ。逆に、塗りには向かない木ということになる。
ということで、木端は贈答用の包装用の接着剤だけで作る小箱に使える。香りが弱いから、高級素麺箱はまず間違いなくモミだと思われる。
と言っても、どうせ類似外材。検索してみたらどうやらアメリカ産ホワイトファーらしい。食品向け木箱より、高級蒲鉾板用として有名らしい。そういえば、小田原で蒲鉾作りイベントに参加した小学生がそんな話をしていたような。

しかし、この手の話しかできない木だと、えらくつまらぬ。
どうせなら、キリスト伝来と共に、磔刑の十字架はモミであると伝わって、スツーパ(石の五輪塔)も兼ねてモミ板を立てたという物語にしてみてはどうか。
その手の話がはたしてあるか調べていないが、「O TANNENBAUM」でえらく気に入られているから、おそらく誰かがそれらしく語っているのではあるまいか。

実は、モミを取り上げたのは、東京都の日の出山(902m)辺り(大久野)が卒塔婆生産量日本一の地区と言われていることを知ったから。当然ながら町の木である。
「寒さに耐え天を突くかの如く四方に伸びる容姿は風格があり神秘的でもあります。また、自生木であるこの樹は、人の手に頼らずにたくましく育っていきます。根をしっかりと地につけ、四方八方に目を向け・・・、いかなる風雪にも耐え、微動だにしない」そうだ。結婚式での新郎新婦紹介のような褒め言葉が並ぶが、その通りであるのは間違いない。ただ、弱点がある。汚れた空気にからきし弱いこと。

(蒲鉾板製造販売企業ホームページ)
 株式会社山幸 業務内容 商品紹介 1. 蒲鉾板/2. 木箱
(日の出町ホームページ)
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