■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2013.1.2 ■■■

   現代Japonismeの象徴的樹木

イヌツゲ(犬黄楊)は、名前からすれば、材質的にはツゲにかなり劣ると評価されていることになる。
しかし、現実には至るところで見かける。材という観点ではなく、樹木の鑑賞という点では人気がある樹種なのである。

素人目でツゲではないことがすぐにわかるのは、葉の違い。目立たぬが、縁に僅かな鋸歯がある。従って、中国では、歯歯冬青、日本冬青。当然ながら、英語では、日本ヒイラギ(Japanese holly)。箱葉ヒイラギ(box-leaved holly)とも呼ばれていることでもわかるが、楕円形の葉は小振りで強度があるから、園芸種として使われている訳だ。
ついでに、仏語だが、Houx Crénelé、あるいはHoux Japonais。訳せば、縁にホタテ貝殻の歯形が付いている聖なる丸葉の木となろうか。1895年に渡来したらしいが、いかにも純東洋的というかJaponismeの象徴的樹木とされているのだろう。

何故、こんな話をするかといえば、2012年のWikipedia閲覧数第1位が「Houx Crénelé」だと言うのである。もちろんFrançais の話。
流石にビックリ。もっとも、それはイヌツゲが1位というよりは、日本語1位が「AV女優一覧」で、その彼我の違いという点だが。

それにしても、そこまで関心をひきつける理由はなんだろうか。理由を調べていないので、勝手な想像に過ぎないが、トピアリーが流行っているということではなかろうか。
日本にしても、イヌツゲをそこらじゅうで見かけるのは、この木が常緑で刈り込みに耐える力を持っているからだろう。たいていは球形剪定だが、それは日本人の好みで、海外なら自由造形で様々なものがありそう。
いずれにしても、観賞用庭園の定番樹木になっているのだと思われる。当然ながら、園芸品種は様々なものが入手可能である。

日本では、どうせマルイヌツゲだらけだろうが、フランスではどうなのだろう。ひょっとしたら、ボンサイに挑戦していたりして。

(ウエブリソーシス)Houx crénelé Most viewed articles on French Wikipedia 2012 http://toolserver.org/~johang/2012.html#french


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