■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2014.1.3 ■■■

     高地火入れ後の木

カバという樹木名は混乱していそう。
もともとは、細工物につかうための桜の木の皮を指す言葉だからだ。今でも樺細工と呼ばれている位で馴染み深い名称。当然ながら、桜の木以外にも用いられる。おそらく、それがもっぱらカバの木だったということだろう。北部インドだと、皮は記載用紙に用いられていたそうだが、日本は経木として使ったことはあるようだが、木簡や紙の方を好んだようだ。
樺細工用の樹木ということで名前が残ってはいるが、その前の名前もあったろうに、残念ながら、それは全くは知られていないようだ。
樺色[]と言えば、山桜の樹皮色であって、カバの木の色を指す訳ではなさそうで、ずいぶんと無視されている樹木である。

ただ、「樺」という漢字はこの色の皮の樹木たる「嶽樺」ではなく、「白樺」の方を指すらしい。中国では、樹皮さえあれば、皮鞣し用のタンニンが採取できるから、表面の色などどうでもよかったのだろう。

シラカバ、ダケカンバのどちらにしても、いかにも高原の木という印象がさる。冷涼で痩せた地でも、空き地さえあれば育ってしまう樹木ということなのだと思う。

そこら辺りに着目すると、樺が残っている地域とは古代の焼畑地区だった可能性もあるのでは。素人の勝手な推測に過ぎぬが。
そう見当をつけるのは、信州に樺の木イメージがあるからではない。冷涼な高地には、古代から白樺は珍しくない樹木だったと考えているからだ。例えば、金剛峯寺から熊野本宮へと続く小辺路が通る、吉野郡野迫川村(標高800m)のシンボルは白樺である。最奥宮たる荒神辺りに林が存在している訳だ。
こういう植生こそが日本の特徴でもあろう。

そして、四国での話を聞くと、そうなるのは、焼畑習慣あってのことと想像してしまうのである。・・・
高松市の南、塩江町安原上東の奥山に、昔、樺の木があったそうだ。 そこを流れる川の水に香りを移していたため、それが「香川」という地名の由来とされている。[「全讃史」]
この地域には、約2万年前と推定されるサヌカイト石器が大量に出土した国分台遺跡があり、古くから台地上に集落があったことが知られている。このことは、粟・稗中心の焼畑を行っていたことを意味しよう。つまり、火入れ後放置していた場所に樺が生えたということ。
それにしても、どのような香りなのか想像がつきにくい。せいぜいのところ、スモーキーフレーバーではないかと思うのだが。

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