■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2014.1.19 ■■■

     山グミの木

サンシュユ[山茱萸]はずいぶんと難しい漢字であることを初めて知った。
要するに、音読みがそのまま名称になったということ。
なんと、江戸幕府の小石川「御薬園」に渡来した薬用植物だそうな。どんな効能があるのか調べていないが。まさか、そんな由緒ある樹木だとは全く気付かず。

それ以上にビックリしたのは、別名を聞いた時。
まさか同じ樹木だとは、今の今まで、全く思ってもいなかった。
「山グミ」だというのだ。
浅学を披露するようなものだが、「茱萸」とはグミのこと。
藪漕ぎ好きなら、「アレはヤマグミだせ」と教えてもらった方は多かろう。まさか、その果実がサンシュウだとは。
もちろん、さして美味しい果実ではないが、山裾を歩いていて、赤い実を食べることができるのは妙に嬉しいもの。原体験的な樹木なのである。(薬の用途で渡来したのだから、食用には向かないと思われるが。まさか毒は入っておるまいと信じたいが、はたしてどうだか。 )
そんなこともあり、未だに信じがたいものがある。

それだけではない。
植物園的な場所で、「春黄金花」なる樹木を見たことがある。名前が独特なので覚えている訳だ。それも同一樹木だという。
小生は、樹木マニアからは程遠いし、花木写真愛好家でもないので、こんな名前を聞かされても、フーン程度でしかないが、なかなか素敵な名前ではとの印象だけは鮮烈に残る。そのため、以後、いつまでも頭の片隅でこの知識が生き続ける。早い話、春に咲く目立つ花はそうそうないからである。
調べずに書くのもなんだが、牧野富太郎博士の命名ということかも知れぬ。

さらに繰り返すことになるが、今の今まで、知らなかったことはこれだけではない。
稗搗節は「庭のサンシュウの木、・・・」と信じていたのだが、それも間違いらしい。冗談半分にアリャ山椒だぜと言ったりしていたが、それが正解のようだ。

日本の命名は滅茶苦茶である。方針など皆無と言うより、それぞれ勝手に呼び名をつけるのが大原則とされていそう。特に、余所者が付けた名前をそのまま取り入れるのは、いたって気分悪しということかも。
間違えて呼んでいると見せかけ、恣意的な名前の入れ替えが行われて来たとしか思えない。

ついでながら、植物学上では、サンシュウ[山茱萸]はミズキ目ミズキ科。グミ[茱萸]はヤマモガシ目グミ科。サンショウ[山椒]はムクロジ目ミカン科。そんなことを知らなくても、花を見たことがあれば、これらを同類と考える人などいる訳がない。

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