■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2014.2.22 ■■■

曼陀羅花木

誰が見ても日本土着の木とは思えず、説明無しでも、比較的遅くに熱帯から渡来したことが一目瞭然の樹木がある。にもかかわらず、県の木とされているから、観光用目玉の木と言ってよいだろう。
しかし、グローバルな時代である。その木の魅力を引き立たせるストーリーが欲しいところ。
今回はそんな思いを込めて、取り上げてみた。

熱帯あるいは亜熱帯のリゾート地域に行くと、真っ赤な花が咲く高木を見かけることが多い。たいていは観光用に植樹された街路樹。空港から宿泊地に至る途中で眺めることになり、ついに来たネと盛り上がる訳である。
訪問者は、観光地の外に入り込む機会はほとんど無いから、どこにでも生えているような木を移植しただけなのか、育種で選りすぐった樹木なのかの判断がつきかねるが。
この樹木、英語では"coral tree"と呼ばれているらしい。リゾートと組み合わせた観光用命名臭さもあり、はたして一般的な名称なのだろうか。

別に、名前に興味がある訳ではないが、時に"flame tree"と呼ばれるので、どうなっているのか気になるだけ。
素人にしてみれば、直訳すれば火炎樹である。実在するカエンボク/火焔木となんとなくゴチャ混ぜになりそうな感じがする訳である。そう思うのは、熱帯リゾートの日本語ガイドブックに「火災樹」との説明を見かけたりするから。はたして、これはどの木を指しているのかとなるが、よくわからないままで終わる。まあ、その程度の観光ではあるのだが。
要するに、以下は"flame tree" or "coral tree"とは全く違う樹木なのである。
 カエンボク/火焔木
 ホウオウボク/鳳凰木
 サンゴジュ/珊瑚樹

尚、東南アジアでは、英語だと"Tiger's Claw"と呼ばれるとも書いてあるが、一般的に通用する言葉ではなさそう。
デイゴ/梯梧 (沖縄[県花])
    ---インド[マレー]原産
  Roluos Tree (カンボジア)
  thong lang (タイ)
  vông nem (ベトナム)
  madar (バングラデッシュ)
  man da ra ba (チベット[サンスクリット語のことだろう.])
アメリカデイゴ
  or かいこうず/海紅豆 (鹿児島[県木])
    ---ブラジル原産 [梯梧より、多少、葉が細い感じ。]
  cockspur coral tree @英語
  ceibo seíbo @スペイン語[アルゼンチン国花]
  corticeira @ポルトガル語

ちなみに、島嶼だと種が同じとされていても、見かけ上は色々と違う点があったりするもの。それを踏まえて考える必要があるが、少なくとも名前はバラバラである。・・・
  wiliwili (ハワイ)
  drala (フィージー)
  atae (タヒチ), gatae (サモア), ngatae (トンガ)
  raar (ヤップ)
  parepein (ポナペ)

台湾を経由して渡来したのではないかと思うが、そちらでは大陸同様に「刺桐」と呼ばれている。桐葉に似ていて、棘があるからだろう。名称のなかで秀逸なのは、いかにも熱帯樹木らしい「珊瑚刺桐」という名前か。梯梧と海紅豆とは違う種なのだろうが、もしかすると交配種かも。

沖縄名のデイゴは漢字の発音訛かと思ったが、漢音がシ(セキ)トゥで呉音はシ(シャク)ヅゥではその線は消さざるを得まい。広東語でもchi-tung、北京の普通語がqí-tongとなり、どう見ても、そういうことではなさそうである。東南アジアあるいは中国南部からやってきた一地方で使われていた名称ということだろうか。
高木であり、天にかかる梯子の意味を与えているのは間違いなさそうだから、曼陀羅花の超省略形ダーラカからという屁理屈をつけたいところだが、無理か。
そうそう、付け加えておくと、「梧」とは幹が緑色のアオギリ/青桐のこと。葉の形はキリ/(白)桐と違いはなさそうだが、青の方が熱帯的な印象が強そう。
・・・まあナンダカネの世界ではある。

(source) W.A.Whistler & C.R,Elevitch: "Eryshrina variegate", Species Profiles for Pacific Islanad Agroforestry, April 2006

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